魯迅 阿Q正伝その4

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(だい2しょう ゆうしょうきりゃく)

第2章 優勝記略

(あきゅうはせいめいもげんせきもしょうしょうあいまいであった。)

阿Qは姓名も原籍も少々あいまいであった。

(のみならずかれのぜんはんせいの「ぎょうじょう」もまたあいまいであった。)

のみならず彼の前半生の「行状」もまたあいまいであった。

(それというのもみしょうのひとたちはただあきゅうをこきつかい、)

それというのも未荘の人達はただ阿Qをコキ使い、

(ただかれをおもちゃにして、もとよりかれの「ぎょうじょう」などに)

ただ彼をおもちゃにして、もとより彼の「行状」などに

(きょうみをもつものがない。)

興味を持つ者がない。

(そしてあきゅうじしんもみのうえばなしなどしたことはない。)

そして阿Q自身も身の上話などしたことはない。

(ときたまひととけんかをしたとき、なにかのはずみにめをみはって)

ときたま人と喧嘩をした時、何かのはずみに目を瞠って

(「おれたちだっていぜんは、てめえよりゃよっぽどごうせいなもんだぞ。)

「俺達だって以前は、てめえよりゃよッぽど豪勢なもんだぞ。

(ひとをなんだとおもっていやがるんだえ」)

人をなんだと思っていやがるんだえ」

(というくらいがせいいっぱいだ。)

というくらいが精いっぱいだ。

(あきゅうはいえがない。みしょうのおいなりさまのなかに)

阿Qは家が無い。未荘の土穀祠の中に

(すんでいていっていのしょくぎょうもないが、ひとにたのまれるとひやといになって、)

住んでいて一定の職業もないが、人に頼まれると日雇いになって、

(むぎをひけといわれればむぎをひき、こめをつけといわれればこめをつき、)

麦をひけと言われれば麦をひき、米を搗けと言われれば米を搗き、

(ふねをこげといわれればふねをこぐ。)

船を漕げと言われれば船を漕ぐ。

(しごとがあまるときには、りんじにしゅじんのいえにねとまりして、)

仕事が余る時には、臨時に主人の家に寝泊りして、

(すんでしまえばすぐにでていく。)

済んでしまえばすぐに出て行く。

(だからひとはいそがしいときにはあきゅうをおもいだすが、)

だから人は忙しい時には阿Qを想い出すが、

(それもしごとのことであって「ぎょうじょう」のことではけっしてない。)

それも仕事のことであって「行状」のことでは決して無い。

(いったんひまになればあきゅうもへちまもないのだから、)

いったん暇になれば阿Qもヘチマもないのだから、

など

(かれのぎょうじょうのことなどなおさらいいだすものがない。)

彼の行状のことなどなおさら言い出す者がない。

(しかしいちどこんなことがあった。)

しかし一度こんなことがあった。

(あるおじいさんがあきゅうをもちあげて)

あるお爺さんが阿Qをもちあげて

(「おまえはなにをさせてもそつがないね」といった。)

「お前は何をさせてもソツが無いね」と言った。

(このとき、あきゅうはひじをまるだしにして(しなちょっきをじかにいちまいきている))

この時、阿Qは肘を丸出しにして(支那チョッキをじかに一枚着ている)

(ぶしょうくさいみすぼらしいふうていで、)

無性臭い見すぼらしい風体で、

(おじいさんのまえにたっていた。)

お爺さんの前に立っていた。

(はたのしゃはこのはなしをほんきにせず、やっぱりひやかしだとおもっていたが、)

はたの者はこの話を本気にせず、やっぱりひやかしだと思っていたが、

(あきゅうはたいそうよろこんだ。)

阿Qは大層喜んだ。

(あきゅうはまたたいそううぬぼれがつよく、)

阿Qはまた大層自惚れが強く、

(みしょうのひとなどはてんでかれのがんちゅうにない。)

未荘の人などはてんで彼の眼中にない。

(ひどいことにはふたりの「ぶんどう」にたいしても、)

ひどいことには二人の「文童」に対しても、

(いっしょうのかちさえみとめていなかった。)

一笑の価値さえ認めていなかった。

(そもそも「ぶんどう」なるものは、しょうらいしゅうさいとなるかのうせいがあるもので、)

そもそも「文童」なる者は、将来秀才となる可能性があるもので、

(ちょうだんなやせんだんながきょみんのそんけいをうけているのは、)

趙太爺や錢太爺が居民の尊敬を受けているのは、

(おかねがあることのほかに、いずれもぶんどうのちちであるからだ。)

お金がある事のほかに、いずれも文童の父であるからだ。

(しかしあきゅうのせいしんにはかくべつのそんねんがおこらない。)

しかし阿Qの精神には格別の尊念が起らない。

(かれはおもった。おれだってせがれがあればもっとえらくなっているぞ!)

彼は想った。俺だって倅があればもっと偉くなっているぞ!

(じょうないにいくどもいったかれはしぜんうぬぼれがつよくなっていたが、)

城内に幾度も行った彼は自然己惚れが強くなっていたが、

(それでいながらまたじょうないのひとをさげすんでいた。)

それでいながらまた城内の人をさげすんでいた。

(たとえばながさ3しゃくはば3すんのきのいたでつくったこしかけは、)

たとえば長さ3尺幅3寸の木の板で作った腰掛は、

(みしょうでは「ちゃんてん」といい、)

未荘では「長登」といい、

(かれもまたそういっているが、じょうないのひとが)

彼もまたそう言っているが、城内の人が

(「でょーてん」というと、)

「条登」というと、

(これはまちがいだ。おかしなことだ、とかれはおもっている。)

これは間違いだ。おかしなことだ、と彼は思っている。

(たらのにびたしはみしょうでは5ぶぎれのねぎのはをいれるのであるが、)

タラの煮浸しは未荘では5分切の葱の葉を入れるのであるが、

(じょうないではねぎをいときりにしていれる。)

城内では葱を糸切りにして入れる。

(これもまちがいだ、おかしなことだ、とかれはおもっている。)

これも間違いだ、おかしなことだ、と彼は思っている。

(ところがみしょうのひとはまったくのせけんみずでわらうべきいなかものだ。)

ところが未荘の人はまったくの世間見ずで笑うべき田舎者だ。

(かれらはじょうないのにざかなさえみたことがない。)

彼等は城内の煮魚さえ見たことがない。

(あきゅうは「いぜんはごうせいなもん」でけんしきがたかく、)

阿Qは「以前は豪勢なもん」で見識が高く、

(そのうえ「なにをさせてもそつがない」のだから、)

そのうえ「何をさせてもソツがない」のだから、

(ほとんどいっぱしのじんぶつといってもいいくらいのものだが、)

ほとんどいっぱしの人物と言ってもいいくらいのものだが、

(おしいことに、かれはたいしつじょうしょうしょうけってんがあった。)

惜しいことに、彼は体質上少々欠点があった。

(とりわけひとにきらわれるのは、)

とりわけ人に嫌われるのは、

(かれのあたまのかわのひょうめんにいつできたものか)

彼の頭の皮の表面にいつ出来たものか

(ずいぶんなんかしょもかさだらけのはげがあった。)

ずいぶん何か所も瘡だらけのハゲがあった。

(これはかれのもちものであるが、)

これは彼の持物であるが、

(かれのしわくをみるとあんまりいいものでもないらしく、)

彼の思惑を見るとあんまりいいものでもないらしく、

(かれは「らい」ということばをきらって)

彼は「癩」という言葉を嫌って

(いっさい「らい」にちかいおんまでもきらった。)

一切「頼」に近い音までも嫌った。

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