諸葛亮孔明 後・出師の表 ①
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問題文
(せんてい、かん・ぞくのりょうりつせず、おうぎょうのひとえにやすせざるをおもんばかり、)
先帝、漢・賊の両立せず、王業の偏えに安せざるを慮り、
(ゆえにしんにたくすにぎゃくぞくをもってせり。せんていのめいをもって、しんのさいをはかり、)
故に臣に託すに討賊を以てせり。先帝の明を以て、臣の才を量り、
(ゆえにしんのぞくをうつにさいよわくてきのつよきことしれり。)
故に臣の賊を伐つに才弱く敵の強きことを知れり。
(しかれども、ぞくをうたざれば、おうぎょうもまたほろぶ。)
然れども、賊を伐たざれば、王業も亦亡ぶ。
(ただざしてほろぶるのまたんよりは、これをうたんにいづれぞ。)
惟坐して亡ぶるを待たんよりは、之を伐たんに孰与ぞ。
(このゆえにしんにたくしてうたがわざりしなり。)
是故に臣に託して疑わざりし也。
(しん、めいをうけしひよりいぬるにせきをやすんぜず、しょくするもあじをあましとせず。)
臣、命を受けし日より寝ぬるに席を安んぜず、食するも味を甘しとせず。
(ほくばつをしいするに、よろしくまずみなみにはいるべし。)
北征を思惟するに、宜しく先ず南に入るべし。
(ゆえにごがつ、ろすいをわたりふかくふもうにはいり、ひをあわせてくう。)
故に五月、濾水を渡り深く不毛に入り、日を併せて食う。
(しん、みずからおしまざるにあらざるなり。)
臣、自ら惜しまざるに非ざる也。
(おうぎょうのしょくとにへんぜんするをえざるをおもい、)
王業の蜀都に偏全するを得ざるを顧い、
(ゆえにきなんをおかしてもってせんていのいしをほうずればなり。)
故に危難を冒して以て先帝の遺志を奉ずれば也。
(しかれども、ぎするもの、いいてけいにあらずとなせり。)
而れども、議する者、謂いて計に非ずと為せり。
(いま、ぞくたまたまにしにつかれ、またひがしにつとむ。へいほうにつかれにじょうず。これしんすうのときなり。)
今、賊適西に疲れ、又東に務む。兵法に労に乘ず。此進趨之時也。
(つつみてそのことをのぶればさのごとし。こうていのめいなることひつきにならび、)
謹みて其の事を陳ぶれば左の如し。高帝の明なること日月に並び、
(ぼうしんはふちのごとくふかし、しかれどもけんをわたり、きずをやぶり、)
謀臣は淵のごとく深し。然れども険を渉、創を破り、
(あやうくしてしかるのちにやすし。いま、へいかいまだこうていにおよばず、)
危うくして然る後に安し。今、陛下は未だ高帝に及ばず、
(ぼうしんはりょう・へいにしかず。しかもちょうけいをもってしょうをとり、)
謀臣は良・平に如かず、而も長計を以て勝を取り、
(ざしててんかをさだめんとほっす。これしんのいまだかいせざるのひとつなり。)
坐して天下を定めんと欲す。此臣之未だ解せざるの一也。
(りゅうよう・おうろうは、おのおのしゅうとによる。やすんぜんことをろんじはかりごとをいい、)
劉繇・王郎は、各々州郡に拠る。安んぜんことを論じ計を言い、
(ややもすればせいじんをひけり、ぐんぎははらにみち、しゅうなんはむねにふさがれり。)
動もすれば聖人を引けり。群疑は腹に満ち、衆難は胸に塞がれり。
(こんさいたたかわず、みょうねんせいせず。そんさくをしてざしてだいとなり、)
今歳不戦、明年不征。孫策をして坐して大となり、
(ついにこうとうをあわせしむ。これしんのいまだかいせざるのふたつなり。)
遂に江東を併せしむ。之臣の未だ解せざるの二也。