136　レンブラント

(がめんちゅうおうでしんこうちゅうのじんたいかいぼうをみているいしたちの)

画面中央で進行中の人体解剖を見ている医師たちの

(さまざまなひょうじょうがえがきわけられている。それまでは、)

さまざまな表情が描き分けられている。それまでは、

(いしをえがくしゅうだんしょうぞうがといえば、ぜんいんをいちれつに)

医師を描く集団肖像画といえば、全員を一列に

(せいれつさせてえがくのがあたりまえだった。１６４２ねん、)

整列させて描くのが当たり前だった。1642年、

(れんぶらんとはもっともじゅうようないらいをうける。じけいだんの)

レンブラントは最も重要な依頼を受ける。自警団の

(しゅうだんしょうぞうがをえがいてほしいとたのまれたのだ。かんせいした)

集団肖像画を描いてほしいと頼まれたのだ。完成した

(かいが「ふらんすばにんぐこっくたいちょうとうぃれむ)

絵画『フランス・バニング・コック隊長とウィレム・

(ふぁんろいてんぶるふふくかんのしけいびたい」は、じけいだんが)

ファン・ロイテンブルフ副官の市警備隊』は、自警団が

(ほんもののせんとうではなくまつりのぎょうれつにいくじゅんびをしている)

本物の戦闘ではなく祭りの行列に行く準備をしている

(ところをえがいたものだ。ほんさくは「やけい」のなでひろく)

ところを描いたものだ。本作は『夜警』の名で広く

(しられている。いまはじょきょされているものの、かつては)

知られている。今は除去されているものの、かつては

(ひょうめんがくろずんだにすでおおわれていて、えをみたひとが、)

表面が黒ずんだニスで覆われていて、絵を見た人が、

(これはよるのばめんをえがいたものだとごかいしたためだ。)

これは夜の場面を描いたものだと誤解したためだ。

(このえはよこはばがよんめーとるいじょうあり、げんざいは)

この絵は横幅が四メートル以上あり、現在は

(あむすてるだむこくりつびじゅつかんでみることができる。)

アムステルダム国立美術館で見ることができる。

(れんぶらんとのすたいるは、じだいとともにおおきく)

レンブラントのスタイルは、時代とともに大きく

(へんかした。じんぶつのかんじょうひょうげんは、しょきのえんげきてきなようそを)

変化した。人物の感情表現は、初期の演劇的な要素を

(すてるにつれて、しだいにせんさいかつあんじてきになって)

捨てるにつれて、次第に繊細かつ暗示的になって

(いった。かずおおくえがいたじがぞう（ごうけいで６０てんいじょうある）)

いった。数多く描いた自画像（合計で60点以上ある）

(も、がかとして、またこじんとしてのせいちょうを)

も、画家として、また個人としての成長を

(はんえいしている。しょきのころのじいしきかじょうなぽーずや)

反映している。初期のころの自意識過剰なポーズや

(はでないしょうはじょじょになくなり、けいけんをつんだきょしょうの)

派手な衣装は徐々になくなり、経験を積んだ巨匠の

(としをかさねたいげんとちえがひょうげんされるようになって)

年を重ねた威厳と知恵が表現されるようになって

(いった。きんせんてきなくきょうをなんどもけいけんしたのち、)

いった。金銭的な苦境を何度も経験したのち、

(れんぶらんとはこうてきせいかつからなかばいんたいした。それでも)

レンブラントは公的生活から半ば引退した。それでも

(じゅうようないらいはうけつづけた。そうしてせいさくされたさくひんの)

重要な依頼は受け続けた。そうして制作された作品の

(ひとつ「ぬのじくみあいのひんしつかんさかんたち」（１６６２ねん）では、)

ひとつ『布地組合の品質監査官たち』（1662年）では、

(ごにんのかんさかんたちがかおをあげ、このえのかんしょうしゃが)

五人の監査官たちが顔を上げ、この絵の鑑賞者が

(きたせいでかいぎがちゅうだんされたかのようなひょうじょうをうかべて)

来たせいで会議が中断されたかのような表情を浮かべて

(いる。れんぶらんとは、はんがかとしてもゆうのうだった。)

いる。レンブラントは、版画家としても有能だった。

(さまざまなぎほうやかみやいんくをためし、いったんほった)

さまざまな技法や紙やインクを試し、いったん彫った

(どうばんにもしゅうせいをくわえたため、かれのはんがのおおくはほかに)

銅板にも修正を加えたため、彼の版画の多くは他に

(るいのないものとなっている。れんぶらんとはおおきな)

類のないものとなっている。レンブラントは大きな

(こうぼうをかまえ、おおくのじょしゅたちがかれとおなじすたいるで)

工房を構え、多くの助手たちが彼と同じスタイルで

(えをかいていたため、しご、おおくのさくひんがあやまってかれの)

絵を描いていたため、死後、多くの作品が誤って彼の

(さくひんとされた。１９６８ねん、おらんだのびじゅつしかちーむが、)

作品とされた。1968年、オランダの美術史家チームが、

(そうしたがんさくをはいじょするもくてきでれんぶらんと)

そうした贋作を排除する目的でレンブラント・

(りさーちぷろじぇくとをたちあげた。ぷろじぇくとの)

リサーチ・プロジェクトを立ち上げた。プロジェクトの

(けっか、れんぶらんとのかいがのうちやく３５０てんだけがしんさく)

結果、レンブラントの絵画のうち約350点だけが真作

(だとはんていされた。)

だと判定された。