紫式部 源氏物語 桐壺 4 與謝野晶子訳

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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 HAKU 7515 7.8 96.2% 518.0 4051 158 61 2024/05/08
2 subaru 7505 7.8 96.1% 515.6 4032 162 61 2024/05/08
3 □「いいね」する 7199 7.3 97.4% 547.7 4050 107 61 2024/05/08
4 ヤス 6487 S 6.7 95.7% 597.0 4051 178 61 2024/05/09
5 miko 6346 S 6.4 97.7% 621.9 4041 94 61 2024/05/11

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問題文

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(ときがたてばすこしはさびしさもまぎれるであろうかと、そんなことをたのみにしてひを)

時がたてば少しは寂しさも紛れるであろうかと、そんなことを頼みにして日を

(おくっていても、ひがたてばたつほどかなしみのふかくなるのはこまったことである。)

送っていても、日がたてばたつほど悲しみの深くなるのは困ったことである。

(どうしているかとばかりおもいやっているこどもも、そろったりょうしんにそだてられる)

どうしているかとばかり思いやっている小児も、そろった両親に育てられる

(こうふくをうしなったものであるから、こをうしなったあなたに、せめてそのこの)

幸福を失ったものであるから、子を失ったあなたに、せめてその子の

(かわりとしてめんどうをみてやってくれることをたのむ。 などとこまごまとかいて)

代わりとして面倒を見てやってくれることを頼む。 などとこまごまと書いて

(おありになった。 )

おありになった。

(みやぎののつゆふきむすぶかぜのおとにこはぎがうえをおもいこそやれ )

宮城野の露吹き結ぶ風の音に小萩が上を思ひこそやれ

(というみうたもあったが、みぼうじんはわきだすなみだがさまたげてあきらかにははいけんすることが)

という御歌もあったが、未亡人はわき出す涙が妨げて明らかには拝見することが

(できなかった。 「ながいきをするからこうしたかなしいめにもあうのだと、)

できなかった。 「長生きをするからこうした悲しい目にもあうのだと、

(それがせけんのひとのまえにわたしをきまりわるくさせることなのでございますから、)

それが世間の人の前に私をきまり悪くさせることなのでございますから、

(ましてごしょへときどきあがることなどはおもいもよらぬことでございます。)

まして御所へ時々上がることなどは思いもよらぬことでございます。

(もったいないおおせをうかがっているのですが、わたくしがしこういたしますことはこんごも)

もったいない仰せを伺っているのですが、私が伺候いたしますことは今後も

(じっこうはできないでございましょう。わかみやさまは、やはりごふしのじょうというものが)

実行はできないでございましょう。若宮様は、やはり御父子の情というものが

(ほんのうにありますものとみえて、ごしょへはやくおはいりになりたいごようすをおみせに)

本能にありますものと見えて、御所へ早くおはいりになりたいご様子をお見せに

(なりますから、わたくしはごもっともだとおかわいそうにおもっておりますという)

なりますから、私はごもっともだとおかわいそうに思っておりますという

(ことなどは、おもてむきのそうじょうでなしになにかのおついでにもうしあげてくださいませ。)

ことなどは、表向きの奏上でなしに何かのおついでに申し上げてくださいませ。

(おっともはやくなくしますし、むすめもしなせてしまいましたようなふこうづくめのわたくしが)

良人も早く亡くしますし、娘も死なせてしまいましたような不幸づくめの私が

(ごいっしょにおりますことは、わかみやのためにえんぎのよろしくないことと)

御いっしょにおりますことは、若宮のために縁起のよろしくないことと

(おそれいっております」 などといった。そのうちわかみやももうおやすみになった。)

恐れ入っております」 などと言った。そのうち若宮ももうお寝みになった。

(「またおめざめになりますのをおまちして、わかみやにおめにかかりまして、)

「またお目ざめになりますのをお待ちして、若宮にお目にかかりまして、

など

(くわしくごようすもへいかへごほうこくしたいのでございますが、つかいのわたくしの)

くわしく御様子も陛下へ御報告したいのでございますが、使いの私の

(かえりますのをおまちかねでもいらっしゃいますでしょうから、それでは)

帰りますのをお待ちかねでもいらっしゃいますでしょうから、それでは

(あまりおそくなるでございましょう」 といってみょうぶはかえりをいそいだ。)

あまりおそくなるでございましょう」 と言って命婦は帰りを急いだ。

(「こをなくしましたははおやのこころの、かなしいくらさがせめていちぶぶんでもはれますほどの)

「子をなくしました母親の心の、悲しい暗さがせめて一部分でも晴れますほどの

(はなしをさせていただきたいのですから、おおやけのおつかいでなく、きらくなおきもちで)

話をさせていただきたいのですから、公のお使いでなく、気楽なお気持ちで

(おやすみがてらまたおたちよりください。いぜんはうれしいことでよくおつかいに)

お休みがてらまたお立ち寄りください。以前はうれしいことでよくお使いに

(おいでくださいましたのでしたが、こんなかなしいちょくしであなたをおむかえするとは)

おいでくださいましたのでしたが、こんな悲しい勅使であなたをお迎えするとは

(なんということでしょう。かえすがえすうんめいがわたくしにながいきさせるのがくるしゅう)

何ということでしょう。返す返す運命が私に長生きさせるのが苦しゅう

(ございます。こじんのことをもうせば、うまれましたときからおやたちにかがやかしいみらいの)

ございます。故人のことを申せば、生れました時から親たちに輝かしい未来の

(のぞみをもたせましたこで、ちちのだいなごんはいよいよきとくになりますまで、このひとを)

望みを持たせました子で、父の大納言はいよいよ危篤になりますまで、この人を

(きゅうちゅうへさしあげようとじぶんのおもったことをぜひじつげんさせてくれ、じぶんがしんだ)

宮中へ差し上げようと自分の思ったことをぜひ実現させてくれ、自分が死んだ

(からといっていままでのかんがえをすてるようなことはしてはならないと、)

からといって今までの考えを捨てるようなことはしてはならないと、

(なんどもなんどもゆいごんいたしましたが、たしかなこうえんしゃなしのみやづかえは、かえってむすめを)

何度も何度も遺言いたしましたが、確かな後援者なしの宮仕えは、かえって娘を

(ふこうにするようなものではないだろうかともおもいながら、わたくしにいたしましては)

不幸にするようなものではないだろうかとも思いながら、私にいたしましては

(ただゆいごんをまもりたいばかりにへいかへさしあげましたが、かぶんなごちょうあいを)

ただ遺言を守りたいばかりに陛下へ差し上げましたが、過分な御寵愛を

(うけまして、そのおひかりでみすぼらしさもかくしていただいて、むすめはおつかえしていた)

受けまして、そのお光でみすぼらしさも隠していただいて、娘はお仕えしていた

(のでしょうが、みなさんのごしっとのつもっていくのがおもにになりまして、)

のでしょうが、皆さんの御嫉妬の積もっていくのが重荷になりまして、

(じゅみょうでしんだとはおもえませんようなしにかたをいたしましたのですから、)

寿命で死んだとは思えませんような死に方をいたしましたのですから、

(へいかのあまりにふかいごあいじょうがかえってうらめしいように、もうもくてきなははのあいから)

陛下のあまりに深い御愛情がかえって恨めしいように、盲目的な母の愛から

(わたくしはおもいもいたします」 こんなはなしをまだぜんぶもいわないでみぼうじんは)

私は思いもいたします」 こんな話をまだ全部も言わないで未亡人は

(なみだでむせかえってしまったりしているうちにますますしんこうになった。)

涙でむせ返ってしまったりしているうちにますます深更になった。

(「それはへいかもおおせになります。じぶんのこころでありながらあまりにおだやかで)

「それは陛下も仰せになります。自分の心でありながらあまりに穏やかで

(ないほどのあいしようをしたのもぜんしょうのやくそくでながくはいっしょにおられぬふたりで)

ないほどの愛しようをしたのも前生の約束で長くはいっしょにおられぬ二人で

(あることをいしきせずにかんじていたのだ。じぶんらはうらめしいいんねんでつながれて)

あることを意識せずに感じていたのだ。自分らは恨めしい因縁でつながれて

(いたのだ、じぶんはそくいしてから、だれのためにもくつうをあたえるようなことは)

いたのだ、自分は即位してから、だれのためにも苦痛を与えるようなことは

(しなかったというじしんをもっていたが、あのひとによっておってはならぬおんなの)

しなかったという自信を持っていたが、あの人によって負ってはならぬ女の

(うらみをおい、ついにはなによりもたいせつなものをうしなって、かなしみにくれて)

恨みを負い、ついには何よりもたいせつなものを失って、悲しみにくれて

(いぜんよりももっとぐれつなものになっているのをおもうと、じぶんらのぜんしょうのやくそくは)

以前よりももっと愚劣な者になっているのを思うと、自分らの前生の約束は

(どんなものであったかしりたいとおはなしになってしめっぽいごようすばかりを)

どんなものであったか知りたいとお話になって湿っぽい御様子ばかりを

(おみせになっています」 どちらもはなすことにきりがない。みょうぶはなくなく、)

お見せになっています」 どちらも話すことにきりがない。命婦は泣く泣く、

(「もうひじょうにおそいようですから、ふくめいはこんばんのうちにいたしたいと)

「もう非常に遅いようですから、復命は今晩のうちにいたしたいと

(ぞんじますから」 といって、かえるしたくをした。おちぎわにちかいつきよのそらが)

存じますから」 と言って、帰る支度をした。落ちぎわに近い月夜の空が

(すみきったなかをすずしいかぜがふき、ひとのかなしみをうながすようなむしのこえがするので)

澄み切った中を涼しい風が吹き、人の悲しみを促すような虫の声がするので

(あるからかえりにくい。 )

あるから帰りにくい。

(すずむしのこえのかぎりをつくしてもながきよあかずふるなみだかな )

鈴虫の声の限りを尽くしても長き夜飽かず降る涙かな

(くるまにのろうとしてみょうぶはこんなうたをくちずさんだ。 )

車に乗ろうとして命婦はこんな歌を口ずさんだ。

(「いとどしくむしのねしげきあさじうにつゆおきそうるくものうえびと )

「いとどしく虫の音しげき浅茅生に露置き添ふる雲の上人

(かえってごほうもんがうらめしいともうしあげたいほどです」 とみぼうじんはにょうぼうに)

かえって御訪問が恨めしいと申し上げたいほどです」 と未亡人は女房に

(いわせた。いしょうをこらせたおくりものなどするばあいでなかったから、こじんの)

言わせた。意匠を凝らせた贈り物などする場合でなかったから、個人の

(かたみということにして、からぎぬとものひとそろえに、かみあげのようぐのはいったはこを)

形見ということにして、唐衣と裳の一揃えに、髪上げの用具のはいった箱を

(そえておくった。)

添えて贈った。

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