紫式部 源氏物語 榊 3 與謝野晶子訳
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | HAKU | 7931 | 神 | 8.1 | 97.6% | 322.0 | 2618 | 64 | 39 | 2024/12/06 |
2 | subaru | 7887 | 神 | 8.2 | 95.4% | 313.4 | 2595 | 123 | 39 | 2024/12/07 |
3 | おもち | 7538 | 神 | 7.7 | 96.9% | 336.0 | 2614 | 81 | 39 | 2024/12/04 |
4 | kkk | 7071 | 王 | 7.3 | 96.9% | 357.9 | 2614 | 83 | 39 | 2024/12/24 |
5 | りく | 6357 | S | 6.4 | 98.2% | 408.2 | 2643 | 48 | 39 | 2024/12/13 |
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問題文
(わかいてんじょうやくにんがしじゅうに、さんにんづれできてはここのぶんがくてきなくうきにひたっていくのを)
若い殿上役人が始終二、三人連れで来てはここの文学的な空気に浸っていくのを
(よろこびにしているという、このかまえのなかのながめはげんじのめにもたしかに)
喜びにしているという、この構えの中のながめは源氏の目にも確かに
(えんなものにみえた。あるだけのこいのものおもいをそうほうであじわったこのふたりの)
艶なものに見えた。あるだけの恋の物思いを双方で味わったこの二人の
(かわしたかいわはうつしにくい。ようやくしらんできたそらがそこにあるということも)
かわした会話は写しにくい。ようやく白んできた空がそこにあるということも
(わざとこしらえたはいけいのようである。 )
わざとこしらえた背景のようである。
(あかつきのわかれはいつもつゆけきをこはよにしらぬあきのそらかな )
暁の別れはいつも露けきをこは世にしらぬ秋の空かな
(とうたったげんじは、かえろうとしてまたおんなのてをとらえて)
と歌った源氏は、帰ろうとしてまた女の手をとらえて
(しばらくさりえないふうであった。ひややかにくがつのかぜがふいて、なきからした)
しばらく去りえないふうであった。冷ややかに九月の風が吹いて、鳴きからした
(まつむしのこえのきこえるのもこのこいびとたちのさびしいわかれのばんそうのようである。)
松虫の声の聞こえるのもこの恋人たちの寂しい別れの伴奏のようである。
(なんでもないひとにもみにしむおもいをあたえるこうしたばんしゅうのよあけにいて、)
何でもない人にも身にしむ思いを与えるこうした晩秋の夜明けにいて、
(あまりにかなしみすぎたこのひとたちはかえってじっかんをよいうたにすることが)
あまりに悲しみ過ぎたこの人たちはかえって実感をよい歌にすることが
(できなかったとみえる。 )
できなかったと見える。
(おおかたのあきのわかれもかなしきになくねなそえそのべのまつむし )
大方の秋の別れも悲しきに鳴く音な添へそ野辺の松虫
(みやすどころのさくである。このひとをえいきゅうにつなぐことのできたいとは、じぶんのかしつで)
御息所の作である。この人を永久につなぐことのできた糸は、自分の過失で
(きれてしまったとくやみながらも、あかるくなっていくのをおそれてげんじはさった。)
切れてしまったと悔やみながらも、明るくなっていくのを恐れて源氏は去った。
(そしてにじょうのいんへつくまでたえずなみだがこぼれた。おんなもれいせいでありえなかった。)
そして二条の院へ着くまで絶えず涙がこぼれた。女も冷静でありえなかった。
(わかれたのちのものおもいをだいてよわよわしくあきのあさにたいしていた。)
別れたのちの物思いを抱いて弱々しく秋の朝に対していた。
(ほのかにつきのひかりにみたげんじのすがたをなおまぼろしにみやすどころはみているのである。)
ほのかに月の光に見た源氏の姿をなお幻に御息所は見ているのである。
(げんじのいふくからちったにおい、そんなものはわかいにょうぼうたちをいがきのなかで)
源氏の衣服から散ったにおい、そんなものは若い女房たちを忌垣の中で
(きょうきにまでするのではないかとおもわれるほどけさもほめそやしていた。)
狂気にまでするのではないかと思われるほど今朝もほめそやしていた。
(「どんないいところへだって、あのたいしょうさんをおみあげすることのできないくにへは)
「どんないい所へだって、あの大将さんをお見上げすることのできない国へは
(いくきがしませんわね」 こんなことをいうにょうぼうはみななみだぐんでいた。)
行く気がしませんわね」 こんなことを言う女房は皆涙ぐんでいた。
(このひげんじからきたてがみはじょうがことにこまやかにでていて、みやすどころに)
この日源氏から来た手紙は情がことにこまやかに出ていて、御息所に
(たびをだんねんさせるちからもあったが、かんちょうへのつうちもすんだいまになって)
旅を断念させる力もあったが、官庁への通知も済んだ今になって
(へんこうのできることでもなかった。おとこはそれほどおもっていないことでも)
変更のできることでもなかった。男はそれほど思っていないことでも
(こいのてがみにはかんじょうをこちょうしてかくものであるが、いまのげんじのばあいは、)
恋の手紙には感情を誇張して書くものであるが、今の源氏の場合は、
(ただのこいびととはけっしておもっていなかったみやすどころが、あいのせいさんを)
ただの恋人とは決して思っていなかった御息所が、愛の精算を
(してしまったふうにおんごくへいこうとするのであるから、ざんねんにもおもわれ、)
してしまったふうに遠国へ行こうとするのであるから、残念にも思われ、
(きのどくであるともはんせいしてのはんもんのかなりひどいじっかんでかいたてがみであるから、)
気の毒であるとも反省しての煩悶のかなりひどい実感で書いた手紙であるから、
(おんなへそれがひびいていったものにちがいない。みやすどころのりょちゅうのいふくから、)
女へそれが響いていったものに違いない。御息所の旅中の衣服から、
(にょうぼうたちのまで、そのほかのたびのようぐもりっぱなものをそろえたせんべつが)
女房たちのまで、そのほかの旅の用具もりっぱな物をそろえた餞別が
(げんじからおくられてきても、みやすどころはうれしいなどとおもうだけのよゆうも)
源氏から贈られて来ても、御息所はうれしいなどと思うだけの余裕も
(こころになかった。うわさにうたわれるようなこいをして、さいごには)
心になかった。噂に歌われるような恋をして、最後には
(すてられたということを、こんどはじまったことのようにくちおしくかなしくばかり)
捨てられたということを、今度始まったことのように口惜しく悲しくばかり
(おもわれるのであった。おわかいさいぐうは、いつのことともしれなかったしゅっぱつのひの)
思われるのであった。お若い斎宮は、いつのことともしれなかった出発の日の
(きまったことをよろこんでおいでになった。せけんでは、ははぎみがついていくことが)
決ったことを喜んでおいでになった。世間では、母君がついて行くことが
(いれいであるとひなんしたり、あるものはまたみやすどころのつよいぼせいあいに)
異例であると批難したり、ある者はまた御息所の強い母性愛に
(どうじょうしたりしていた。みやすどころがへいぼんなひとであったら、けっしてこうでは)
同情したりしていた。御息所が平凡な人であったら、決してこうでは
(なかったこととおもわれる。けっしゅつしたひとのこうどうはめにたちやすくてきのどくである。)
なかったことと思われる。傑出した人の行動は目に立ちやすくて気の毒である。