「やまなし」宮沢賢治(5/5頁)

順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | Par2 | 4323 | C+ | 4.3 | 98.5% | 247.7 | 1087 | 16 | 34 | 2025/03/28 |
関連タイピング
-
プレイ回数397長文4026打
-
プレイ回数1931長文4058打
-
プレイ回数1253長文3904打
-
少年探偵団シリーズ1作目
プレイ回数1865長文2955打 -
江戸時代の怪異談
プレイ回数818長文3481打 -
プレイ回数1103長文2927打
-
夢の中の栄枯盛衰に価値を見出している小説小品。
プレイ回数1336長文2012打 -
昭和初期の作家が書いた近未来のはなし
プレイ回数1376長文1482打
問題文
(そのとき、とぶん。)
そのとき、トブン。
(くろいまるいおおきなものが、てんじょうからおちて)
黒い円い大きなものが、天井から落ちて
(ずうっとしずんでまたうえへのぼっていきました。)
ずうっとしずんで又上へのぼって行きました。
(きらきらっときんのぶちがひかりました。)
キラキラッと黄金のぶちがひかりました。
(かわせみだ)
『かわせみだ』
(こどもらのかにはくびをすくめていいました。)
子供らの蟹は頸をすくめて云いました。
(おとうさんのかには、とおめがねのようなりょうほうのめを)
お父さんの蟹は、遠めがねのような両方の眼を
(あらんかぎりのばして、)
あらん限り延ばして、
(よくよくみてからいいました。)
よくよく見てから云いました。
(そうじゃない、あれはやまなしだ、)
『そうじゃない、あれはやまなしだ、
(ながれていくぞ、ついていってみよう、)
流れて行くぞ、ついて行って見よう、
(ああいいにおいだな)
ああいい匂においだな』
(なるほど、そこらのつきあかりのみずのなかは、)
なるほど、そこらの月あかりの水の中は、
(やまなしのいいにおいでいっぱいでした。)
やまなしのいい匂いでいっぱいでした。
(さんびきはぼかぼかながれていく)
三疋はぼかぼか流れて行く
(やまなしのあとをおいました。)
やまなしのあとを追いました。
(そのよこあるきと、そこのくろいみっつのかげぼうしが、)
その横あるきと、底の黒い三つの影法師が、
(あわせてむっつおどるようにして、)
合せて六つ踊るようにして、
(やまなしのまるいかげをおいました。)
やまなしの円い影を追いました。
(まもなくみずはさらさらなり、)
間もなく水はサラサラ鳴り、
(てんじょうのなみはいよいよあおいほのおをあげ、)
天井の波はいよいよ青い焔をあげ、
(やまなしはよこになってきのえだにひっかかってとまり、)
やまなしは横になって木の枝にひっかかってとまり、
(そのうえにはげっこうのにじがもかもかあつまりました。)
その上には月光の虹がもかもか集まりました。
(どうだ、やっぱりやまなしだよ、)
『どうだ、やっぱりやまなしだよ、
(よくじゅくしている、いいにおいだろう。)
よく熟している、いい匂いだろう。』
(おいしそうだね、おとうさん)
『おいしそうだね、お父さん』
(まてまて、もうふつかばかりまつとね、)
『待て待て、もう二日ばかり待つとね、
(こいつはしたへしずんでくる、)
こいつは下へ沈んで来る、
(それからひとりでにおいしいおさけができるから、)
それからひとりでにおいしいお酒ができるから、
(さあ、もうかえってねよう、おいで)
さあ、もう帰って寝よう、おいで』
(おやこのかにはさんびきじぶんらのあなにかえっていきます。)
親子の蟹は三疋自分等の穴に帰って行きます。
(なみはいよいよあおじろいほのおをゆらゆらとあげました、)
波はいよいよ青じろい焔をゆらゆらとあげました、
(それはまたこんごうせきのこなをはいているようでした。)
それは又金剛石の粉をはいているようでした。
(わたしのげんとうはこれでおしまいであります。)
私の幻燈はこれでおしまいであります。