刑法 1-1 因果関係①

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(aとbは、いしのれんらくなくこうののみものにそれぞれちしりょうのどくやくをこんにゅうし、)

AとBは、意思の連絡なく甲の飲み物にそれぞれ致死量の毒薬を混入し、

(そののみものをのんだこうがしぼう。)

その飲み物を飲んだ甲が死亡。

(とい1aがこんにゅうしたどくやくがききはじめるまえに、bのどくやくによってしぼうしたばあい)

問1:Aが混入した毒薬が効き始める前に、Bの毒薬によって死亡した場合

(どくをこんにゅうしたじてんでしぼうのきけんせいがしょうじ、いずれにもじっこうこういせいがみとめられる)

毒を混入した時点で死亡の危険性が生じ、いずれにも実行行為性が認められる

(aにけっかのせきにんをおわせるためには、けいほうじょうのいんがかんけいがひつよう)

Aに結果の責任を負わせるためには、「刑法上の因果関係」が必要

(ぜんていとしてこういとけっかにじょうけんかんけいがみとめられなければならない。)

前提として行為と結果に条件関係が認められなければならない。

(aのこういがなくてもこうのしぼうというけっかがはっせいしたため、じょうけんかんけいはない)

Aの行為がなくても甲の死亡という結果が発生したため、条件関係はない

(いんがかんけいはだんぜつしており、aはさつじんみすいざいのざいせきをおうにとどまる)

因果関係は断絶しており、Aは殺人未遂罪の罪責を負うにとどまる

(bはさつじんきすいざいのざいせきをおうか)

Bは殺人既遂罪の罪責を負うか

(bがどくやくをこんにゅうしなくても、aがこんにゅうしたどくやくがきくことによりこうはしぼうした)

Bが毒薬を混入しなくても、Aが混入した毒薬が効くことにより甲は死亡した

(じょうけんかんけいがひていされるようにもおもえる)

条件関係が否定されるようにも思える

(しかし、じょうけんかんけいのそんぴはじじつてきげんじつてきにはんだんされるべき)

しかし、条件関係の存否は事実的・現実的に判断されるべき

(aのどくやくがじっさいにきくかどうかもわからないのに、)

Aの毒薬が実際に効くかどうかも分からないのに、

(aのどくやくがきくはずといったかていてきようそをつけくわえるべきではない)

Aの毒薬が効くはずといった仮定的要素を付け加えるべきではない

(げんじつてきにみれば、bのこういがなかったならば、しぼうけっかははっせいしなかった)

現実的に見れば、Bの行為がなかったならば、死亡結果は発生しなかった

(bのこういとけっかとのあいだには、じょうけんかんけいがみとめられる)

Bの行為と結果との間には、条件関係が認められる

(ちしりょうのどくやくによりこうがしぼうすることは、いっぱんのしゃかいけいけんにてらしてそうとう)

致死量の毒薬により甲が死亡することは、一般の社会経験に照らして相当

(そうとういんがかんけいもみとめられるため、bはさつじんきすいざいのざいせきをおう)

相当因果関係も認められるため、Bは殺人既遂罪の罪責を負う

(とい2どちらのどくやくもきいたあとに、こうがしぼうしたばあいたくいつてききょうごう)

問2:どちらの毒薬も効いた後に、甲が死亡した場合(択一的競合)

(ぜんもんとおなじく、いずれにもさつじんざいのじっこうこういせいがみとめられる。)

前問と同じく、いずれにも殺人罪の実行行為性が認められる。

など

(aのこういがなくてもbのこういによりこうはしぼうし、そのぎゃくもいえる)

Aの行為がなくてもBの行為により甲は死亡し、その逆も言える

(そのため、じょうけんかんけいはひていされるともおもえる)

そのため、条件関係は否定されるとも思える

(abはどくりつしてこうをさつがいしうるこういをおこない、じっさいにしぼうけっかをしょうじさせている)

ABは独立して甲を殺害しうる行為を行い、実際に死亡結果を生じさせている

(どうじだったというぐうぜんのじじょうのためにさつじんみすいざいとするのは、じょうしきにはんする。)

同時だったという偶然の事情のために殺人未遂罪とするのは、常識に反する。

(いずれもちしりょうにみたないちょうじょうてきいんがかんけいのばあいにはじょうけんかんけいはこうていされる)

いずれも致死量に満たない重畳的因果関係の場合には条件関係は肯定される

(よりおおくのどくをこんにゅうしているほんもんのほうが、つみがかるくなるのはふきんこうである。)

より多くの毒を混入している本問の方が、罪が軽くなるのは不均衡である。

(じょうけんかんけいのぜんていにはあれがあるからこれがあるというかんけいがそんざいする)

条件関係の前提には「あれがあるからこれがある」という関係が存在する

(こういをけっかにむすびつけるべきかについては、じしょうにしぜんほうそくてきれんかんがあるか)

行為を結果に結びつけるべきかについては、事象に自然法則的連関があるか

(どうかによってはんだんされるべきだとかいするごうほうそくてきじょうけんせつ)

どうかによって判断されるべきだと解する(合法則的条件説)

(ちしりょうのどくをのんだらしぼうしたというかんけいは、しぜんほうそくてきれんかんあり)

「致死量の毒を飲んだら死亡した」という関係は、自然法則的連関あり

(abどちらにたいしても、いんがかんけいをみとめることができる。)

ABどちらに対しても、因果関係を認めることができる。

(いっぱんのしゃかいけいけんにてらしてもそうとうといえるため、そうとういんがかんけいもみとめられる)

一般の社会経験に照らしても相当といえるため、「相当因果関係」も認められる

(aおよびbは、いずれもさつじんきすいざいのざいせきをおう)

A及びBは、いずれも殺人既遂罪の罪責を負う

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