銀河鉄道の夜 8

宮沢賢治 作
ジョバンニがまだそういってしまわないうちに、
「ジョバンニ、お父さんから、らっこの上着がくるよ。」
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ちゃった | 5107 | B+ | 5.1 | 99.5% | 326.8 | 1676 | 7 | 42 | 2025/09/17 |
2 | じゅん | 4836 | B | 5.0 | 95.6% | 326.5 | 1655 | 76 | 42 | 2025/09/24 |
関連タイピング
-
サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠し事
プレイ回数304短文かな54打 -
少年探偵団シリーズ第3作品『妖怪博士』
プレイ回数1206長文4728打 -
チックタックな曲です
プレイ回数1.6万歌詞180秒 -
(上)先生と私
プレイ回数1109長文1708打 -
岡本綺堂 半七捕物帳シリーズ 第11話
プレイ回数500長文2768打 -
夏目漱石
プレイ回数16万長文かな512打 -
めっちゃいっぱいある題名、問題にしました!
プレイ回数37041119打 -
少年探偵団シリーズ1作目
プレイ回数2445長文2672打
問題文
(よん、けんたうるさいのよる)
四、ケンタウル祭の夜
(じょばんには、くちぶえをふいているようなさびしいくちつきで、)
ジョバンニは、口笛を吹いているような寂しい口つきで、
(ひのきのまっくろにならんだまちのさかをおりてきたのでした。)
ヒノキのまっ黒にならんだ町の坂を降りてきたのでした。
(さかのしたにおおきなひとつのがいとうが、あおじろくりっぱにひかっていました。)
坂の下に大きな一つの街燈が、青白くりっぱに光っていました。
(じょばんにが、どんどんでんとうのほうへおりていきますと、)
ジョバンニが、どんどん電燈の方へ下りて行きますと、
(いままでばけもののように、ながくぼんやり、)
いままでばけもののように、長くぼんやり、
(うしろへひいていたじょばんにのかげぼうしは、)
うしろへ引いていたジョバンニの影ぼうしは、
(だんだんこくくろくはっきりなって、あしをあげたりてをふったり、)
だんだん濃く黒くはっきりなって、足をあげたり手を振ったり、
(じょばんにのよこのほうへまわってくるのでした。)
ジョバンニの横の方へまわってくるのでした。
((ぼくはりっぱなきかんしゃだ。ここはこうばいだからはやいぞ。)
(ぼくはりっぱな機関車だ。ここは勾配だから速いぞ。
(ぼくはいまそのでんとうをとおりこす。)
ぼくはいまその電燈を通り越す。
(そうら、こんどはぼくのかげぼうしはこむぱすだ。)
そうら、こんどはぼくの影法師はコムパスだ。
(あんなにくるっとまわって、まえのほうへきた。))
あんなにくるっとまわって、前の方へきた。)
(とじょばんにがおもいながら、おおまたにそのがいとうのしたをとおりすぎたとき、)
とジョバンニが思いながら、大股にその街燈の下を通り過ぎたとき、
(いきなりひるまのざねりが、)
いきなり昼間のザネリが、
(あたらしいえりのとがったしゃつをきて)
新しい襟のとがったシャツを着て
(でんとうのむこうがわのくらいこうじからでてきて、)
電燈の向こう側の暗い小路から出てきて、
(ひらっとじょばんにとすれちがいました。)
ひらっとジョバンニとすれちがいました。
(「ざねり、からすうりながしにいくの。」)
「ザネリ、カラスウリ流しに行くの。」
(じょばんにがまだそういってしまわないうちに、)
ジョバンニがまだそういってしまわないうちに、
(「じょばんに、おとうさんから、らっこのうわぎがくるよ。」)
「ジョバンニ、お父さんから、ラッコの上着がくるよ。」
(そのこがなげつけるようにうしろからさけびました。)
その子が投げつけるようにうしろから叫びました。
(じょばんには、ぱっとむねがつめたくなり、)
ジョバンニは、ぱっと胸がつめたくなり、
(そこらじゅうきぃんとなるようにおもいました。)
そこら中キィンと鳴るように思いました。
(「なんだい。ざねり。」)
「なんだい。ザネリ。」
(とじょばんにはたかくさけびかえしましたが、)
とジョバンニは高く叫び返しましたが、
(もうざねりはむこうのひばのうわったいえのなかへはいっていました。)
もうザネリは向こうのヒバの植わった家の中へ入っていました。
(「ざねりはどうしてぼくがなんにもしないのに)
「ザネリはどうしてぼくがなんにもしないのに
(あんなことをいうのだろう。)
あんなことをいうのだろう。
(はしるときはまるでねずみのようなくせに。)
走るときはまるでネズミのようなくせに。
(ぼくがなんにもしないのにあんなことをいうのは)
ぼくがなんにもしないのにあんなことをいうのは
(ざねりがばかなからだ。」)
ザネリがばかなからだ。」
(じょばんには、せわしくいろいろのことをかんがえながら、)
ジョバンニは、せわしくいろいろのことを考えながら、
(さまざまのあかりやきのえだで、)
さまざまの灯りや木の枝で、
(すっかりきれいにかざられたまちをとおっていきました。)
すっかりきれいに飾られた街を通って行きました。
(とけいやのみせにはあかるくねおんとうがついて、)
時計屋の店には明るくネオン燈がついて、
(いちびょうごとに、いしでこさえたふくろうのあかいめが、)
一秒ごとに、石でこさえたふくろうの赤い目が、
(くるっくるっとうごいたり、)
くるっくるっとうごいたり、
(いろいろなほうせきがうみのようないろをしたあついがらすのばんにのって、)
いろいろな宝石が海のような色をした厚いガラスの盤にのって、
(ほしのようにゆっくりめぐったり、)
星のようにゆっくりめぐったり、
(またむこうがわから、)
また向こう側から、
(どうのじんばがゆっくりこっちへまわってきたりするのでした。)
銅の人馬がゆっくりこっちへまわってきたりするのでした。