星の王子さま 10① (11/32)
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問題文
(おうじさまは、325,326,327,328,329,それから)
王子さまは、325,326,327,328,329,それから
(330までのほしがひかっているところにきました。)
330までの星が光っているところにきました。
(おうじさまは、ほしのけんぶつをはじめました。)
王子さまは、星の見物をはじめました。
(なにかしごとをさせてもらって、べんきょうしようというのでした。)
なにか仕事をさせてもらって、勉強しようというのでした。
(だいいちのほしには、おうさまがすんでいました。)
第一の星には、王さまが住んでいました。
(そのおうさまは、あかねいろのふくにしろてんのけがわをきて、)
その王さまは、あかね色の服に白テンの毛皮を着て、
(たいそうしっそながらも、どうどうとしたぎょくざのうえに、すわっていました。)
たいそう質素ながらも、堂々とした玉座の上に、すわっていました。
(おうじさまをみかけると、おおきなこえでいいました。)
王子さまを見かけると、大きな声でいいました。
(「やあ、けらいがきたな」)
「やあ、家来が来たな」
(おうじさまは、 <いちどもぼくにあったことがないのに、どうして、)
王子さまは、 <一度もぼくにあったことがないのに、どうして、
(みおぼえがあるのだろう>と かんがえました。)
見覚えがあるのだろう>と 考えました。
(おうさまたちのめからみると、たいへんかんたんなのですが、)
王さまたちの目から見ると、たいへん簡単なのですが、
(そのことを、おうじさまはしりませんでした。)
そのことを、王子さまは知りませんでした。
(おうさまたちにとっては、にんげんは、みんなけらいなのです。)
王さまたちにとっては、人間は、みんな家来なのです。
(「ちこうよりなさい。そのほうが、もっとよくみえるように」)
「近うよりなさい。そのほうが、もっとよく見えるように」
(やっとだれかのおうさまになれたので、おうさまは、とくいになっていいました。)
やっとだれかの王さまになれたので、王さまは、とくいになっていいました。
(おうじさまは、どこにすわろうかと、あたりをみまわしました。)
王子さまは、どこにすわろうかと、あたりを見回しました。
(だけれど、おうさまのどうどうとしたしろてんのけがわで、)
だけれど、王さまの堂々とした白テンの毛皮で、
(ほしが、すっかりふさがっていて、すわるにもすわれません。)
星が、すっかりふさがっていて、すわるにもすわれません。
(じっとたっているままでしたが、つかれていたので、あくびをしました。)
じっと立っているままでしたが、つかれていたので、あくびをしました。
(するとおうさまがいいました。)
すると王さまがいいました。
(「おうさまのまえで、あくびするとは、えちけっとにはんしておる。)
「王さまの前で、あくびするとは、エチケットに反しておる。
(あくびきんしじゃ」)
あくび禁止じゃ」
(「がまんできないんです」 とおうじさまは、どぎまぎしてこたえました。)
「がまんできないんです」 と王子さまは、どぎまぎして答えました。
(「ぼく、ながいたびをしてきたでしょう?)
「ぼく、長い旅をしてきたでしょう?
(それに、ねむらなかったものですから・・・」)
それに、眠らなかったものですから・・・」
(「そうか、では、あくびしなさい、めいれいする。 わしは、もう、なんねんか、)
「そうか、では、あくびしなさい、命令する。 わしは、もう、なん年か、
(ひとのあくびするのをみたことがない。)
人のあくびするのを見たことがない。
(あくびというものは、おもしろいものだな。)
あくびというものは、おもしろいものだな。
(さ、あくびしなさい、もういちど。めいれいじゃ」)
さ、あくびしなさい、もう一度。命令じゃ」
(「むねがどきどきして・・・もう、できなくなりました・・・」)
「胸がドキドキして・・・もう、できなくなりました・・・」
(とおうじさまは、まっかになっていいました。)
と王子さまは、まっかになっていいました。
(「これは、これは! では、こうめいれいする。)
「これは、これは! では、こう命令する。
(あるときは、あくびをし、あるときは・・・」)
ある時は、あくびをし、ある時は・・・」
(おうさまは、なにかくちのなかでもぐもぐいって、きをもんでいるようすでした。)
王さまは、なにか口の中でもぐもぐ言って、気をもんでいるようすでした。
(というのも、おうさまがなによりもたいせつにおもっていることは、)
というのも、王さまがなによりもたいせつに思っていることは、
(じぶんのいこうに、きずがつかないことだからでした。)
自分の威光に、傷がつかないことだからでした。
(めいれいにそむくようなひとは、とてもおおめにみていられません。)
命令にそむくような人は、とても大目に見ていられません。
(どこまでもわんまんのおうさまでした。)
どこまでもワンマンの王さまでした。
(しかし、たいそうひとのいいおうさまなので、むりなめいれいをくだすことはありません。)
しかし、たいそう人のいい王さまなので、無理な命令を下すことはありません。
(<わしがたいしょうに、うみのとりになれとめいれいしたとする。)
<わしが大将に、海の鳥になれと命令したとする。
(そのたいしょうが、わしのめいれいにしたがわないとしても、)
その大将が、わしの命令に従わないとしても、
(たいしょうがいけないわけはないだろう。わしがいけないだろう>)
大将がいけないわけはないだろう。わしがいけないだろう>
(といったふうに、ふだん、すらすらという、おうさまでした。)
といったふうに、ふだん、すらすらという、王さまでした。
(「すわってもいいでしょうか?」)
「すわってもいいでしょうか?」
(とおうじさまはおずおずとききました。)
と王子さまはオズオズと聞きました。
(「うん、すわんなさい、めいれいする」 と、おうさまはこたえて、)
「うん、すわんなさい、命令する」 と、王さまは答えて、
(しろてんのけがわのふくのたれを、もったいぶってひきよせました。)
白テンの毛皮の服の垂れを、もったいぶって引きよせました。
(しかし、おうじさまは、ふしぎでなりませんでした。)
しかし、王子さまは、ふしぎでなりませんでした。
(こんなちいさいほしだのに、おうさまは、いったい、)
こんな小さい星だのに、王さまは、いったい、
(なにをしはいしているのでしょう・・・)
なにを支配しているのでしょう・・・
(「へいか・・・。おたずねしたいことがありますが・・・」)
「陛下・・・。おたずねしたいことがありますが・・・」
(「たずねなさい、めいれいする」 と、おうさまは、いそいでいいました。)
「たずねなさい、命令する」 と、王さまは、いそいでいいました。
(「へいか・・・へいかはいったい、なにをしはいしていらっしゃるんですか」)
「陛下・・・陛下はいったい、なにを支配していらっしゃるんですか」
(「どこも、ここもじゃ」 と、おうさまは、ただもうあっさりといいました。)
「どこも、ここもじゃ」 と、王さまは、ただもうあっさりといいました。
(「どこも、ここも?」 おうさまは、おつにすまして、じぶんのほしとほかのほしを、)
「どこも、ここも?」 王さまは、おつにすまして、じぶんの星とほかの星を、
(ずうーっとゆびさしました。)
ずうーっと指さしました。
(「あれをみんな?」 と、おうじさまはいいました。)
「あれをみんな?」 と、王子さまはいいました。
(「うん、あれをみんな・・・」 と、おうさまはこたえました。)
「うん、あれをみんな・・・」 と、王さまは答えました。
(それは、おうさまが、くにのわんまんであるばかりでなく、)
それは、王さまが、国のワンマンであるばかりでなく、
(うちゅうのわんまんだからでした。)
宇宙のワンマンだからでした。
(「じゃ、ほしはみんな、へいかにしたがっているわけですね?」)
「じゃ、星はみんな、陛下に従っているわけですね?」
(「そうだとも、そうだとも。すぐにもしたがう。わしはふきりつをゆるさんのじゃ」)
「そうだとも、そうだとも。すぐにも従う。わしは不規律を許さんのじゃ」
(たいしたけんりょくだな、とおうじさまはびっくりしました。)
たいした権力だな、と王子さまはびっくりしました。
(そして、もし、じぶんにこんなけんりょくがあったら、)
そして、もし、じぶんにこんな権力があったら、
(こしかけているいすを、うしろにひくめんどうなんかしないで、)
腰掛けているいすを、うしろに引くめんどうなんかしないで、
(おなじいちにちのうちに、いりひをよんじゅうよんどどころか、ななじゅうにどでも、)
おなじ一日のうちに、入り日を四十四度どころか、七十二度でも、
(ひゃくどでも、にひゃくどでもながめることができるのに、とおもいました。)
百度でも、二百度でもながめることができるのに、と思いました。
(それで、とおくにのこしてきたちいさなほしのことがおもいだされて、)
それで、遠くにのこしてきた小さな星のことが思い出されて、
(すこし、きがしずんでいたおうじさまは、おもいきって、)
すこし、気がしずんでいた王子さまは、思い切って、
(おうさまのごおんにあまえてみようとおもいました。)
王さまの御恩にあまえてみようと思いました。
(「ぼく、いりひをながめたいんですけど・・・ )
「ぼく、入り日をながめたいんですけど・・・
(なんでしたら、おひさまにしずめ、とめいれいなさってくださいませんか」)
なんでしたら、お日さまに沈め、と命令なさってくださいませんか」
(「わしがたいしょうにむかって、ちょうちょうみたいに、はなからはなへとべとか、)
「わしが大将に向かって、チョウチョウみたいに、花から花へ飛べとか、
(ひげきをかけとか、うみのとりになれとか、めいれいするとする。)
悲劇を書けとか、海の鳥になれとか、命令するとする。
(そして、そのたいしょうが、めいれいをじっこうしないとしたら、たいしょうとわしと、)
そして、その大将が、命令を実行しないとしたら、大将とわしと、
(どっちがまちがっているだろうかね」)
どっちが間違っているだろうかね」
(「そりゃ、へいかでしょう」 と、おうじさまが、きっぱりといいました。)
「そりゃ、陛下でしょう」 と、王子さまが、きっぱりといいました。
(「そのとおり。ひとには、めいめい、そのひとのできることを)
「そのとおり。ひとには、めいめい、そのひとのできることを
(してもらわなけりゃならん。 どうりのどだいあってのけんりょくじゃ。)
してもらわなけりゃならん。 道理の土台あっての権力じゃ。
(もし、おまえがじんみんたちに、うみにいってとびこめとめいれいしたら、)
もし、おまえが人民たちに、海にいって飛び込めと命令したら、
(じんみんたちは、かくめいをおこすだろう。 わしは、むりなめいれいはしないのだから、)
人民たちは、革命をおこすだろう。 わしは、むりな命令はしないのだから、
(みんなをわしにふくじゅうさせるけんりがあるのじゃ」)
みんなをわしに服従させる権利があるのじゃ」
(「じゃ、ゆうひをみせてくださることは?」)
「じゃ、夕日をみせてくださることは?」
(と、おうじさまは、なにかいちどききだすと、いつまでもきく、)
と、王子さまは、なにか一度ききだすと、いつまでもきく、
(れいのくせをだしていいました。)
例のくせを出していいました。
(「うん、ゆうひはみせてあげる。 わしがめいれいしてやる。)
「うん、夕日はみせてあげる。 わしが命令してやる。
(だが、つごうがよくなるまで、まつとしよう。 それが、わしのせいじのこつじゃ」)
だが、都合がよくなるまで、待つとしよう。 それが、わしの政治のこつじゃ」
(「いつ、つごうがよくなるんですか?」 と、おうじさまはききました。)
「いつ、都合がよくなるんですか?」 と、王子さまはききました。
(「ふん、ふん!」 と、おうさまはいって、おおきなこよみをくってみました。)
「ふん、ふん!」 と、王さまはいって、大きな暦をくってみました。
(「ふん、ふん! うーん、そりゃ、きょうのゆうがたのしちじよんじゅっぷんごろになるかな。)
「ふん、ふん! うーん、そりゃ、きょうの夕方の七時四十分ごろになるかな。
(まあ、みていなさい。 ばんじわしのめいれいどおりになるから」)
まあ、見ていなさい。 万事わしの命令どおりになるから」
(おうじさまは、あくびしました。)
王子さまは、あくびしました。
(いくらゆうひをながめたくても、なかなかながめられないからです。)
いくら夕日を眺めたくても、なかなか眺められないからです。
(それに、どうやらたいくつになりだしたのです。)
それに、どうやら退屈になりだしたのです。
(「もう、ここでは、なんにもすることがありません。)
「もう、ここでは、なんにもすることがありません。
(ぼく、また、たびをつづけます」)
ぼく、また、旅をつづけます」
(「いくな、いくな」 と、けらいがひとりできたので、)
「いくな、いくな」 と、家来がひとりできたので、
(たいへんとくいになっていたおうさまは、いいました。)
たいへん得意になっていた王さまは、いいました。
(「だいじんにしてあげるから」 「なんのだいじんに?」)
「大臣にしてあげるから」 「なんの大臣に?」