銀河鉄道の夜 15
六、銀河ステーション (3/4)
宮沢賢治 作
宮沢賢治 作
「ああ、ぼく銀河ステーションを通ったろうか。いまぼくたちのいるとこ、ここだろう。」
ジョバンニは、白鳥と書いてある停車場のしるしの、すぐ北を指しました。
ジョバンニは、白鳥と書いてある停車場のしるしの、すぐ北を指しました。
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問題文
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(「ああ、ぼくぎんがすてーしょんをとおったろうか。)
「ああ、ぼく銀河ステーションを通ったろうか。
(いまぼくたちのいるとこ、ここだろう。」)
いまぼくたちのいるとこ、ここだろう。」
(じょばんには、はくちょうとかいてあるていしゃばのしるしの、すぐきたをさしました。)
ジョバンニは、白鳥と書いてある停車場のしるしの、すぐ北を指しました。
(「そうだ、おや、あのかわらはつきよだろうか。」)
「そうだ、おや、あの河原は月夜だろうか。」
(そっちをみますと、あおじろくひかるぎんがのきしに、)
そっちを見ますと、青白く光る銀河の岸に、
(ぎんいろのそらのすすきが、もうまるでいちめん、)
銀いろの空のすすきが、もうまるでいちめん、
(かぜにさらさらさらさら、ゆられてうごいていて、なみをたてているのでした。)
風にさらさらさらさら、ゆられてうごいていて、波を立てているのでした。
(「つきよではないよ。ぎんがだからひかるんだよ。」)
「月夜ではないよ。銀河だから光るんだよ。」
(じょばんには、いいながら、)
ジョバンニは、いいながら、
(まるではねあがりたいくらいゆかいになって、)
まるではね上がりたいくらい愉快になって、
(あしをこつこつならし、まどからかおをだして、)
足をこつこつ鳴らし、窓から顔を出して、
(たかくたかくほしめぐりのくちぶえをふきながらいっしょうけんめいのびあがって、)
高く高く星めぐりの口笛を吹きながら一生けんめいのびあがって、
(そのあまのがわのみずを、みきわめようとしましたが、)
その天の川の水を、見きわめようとしましたが、
(はじめはどうしてもそれが、はっきりしませんでした。)
はじめはどうしてもそれが、はっきりしませんでした。
(けれどもだんだんきをつけてみると、)
けれどもだんだん気をつけて見ると、
(そのきれいなみずは、がらすよりもすいそよりもすきとおって、)
そのきれいな水は、ガラスよりも水素よりもすきとおって、
(ときどきめのかげんか、ちらちらむらさきいろのこまかななみをたてたり、)
ときどき目の加減か、ちらちら紫いろのこまかな波をたてたり、
(にじのようにぎらっとひかったりしながら、こえもなくどんどんながれていき、)
虹のようにぎらっと光ったりしながら、声もなくどんどん流れて行き、
(のはらにはあっちにもこっちにも、)
野原にはあっちにもこっちにも、
(りんこうのさんかくひょうが、うつくしくたっていたのです。)
燐光の三角標が、うつくしく立っていたのです。
など
(とおいものはちいさく、ちかいものはおおきく、)
遠いものは小さく、近いものは大きく、
(とおいものはだいだいやきいろではっきりし、)
遠いものは橙や黄いろではっきりし、
(ちかいものはあおじろくすこしかすんで、)
近いものは青白く少しかすんで、
(あるいはさんかくけい、あるいはしへんけい、あるいはいなずまやくさりのかたち、)
あるいは三角形、あるいは四辺形、あるいは電(いなずま)や鎖の形、
(さまざまにならんで、のはらいっぱいにひかっているのでした。)
さまざまにならんで、野原いっぱいに光っているのでした。
(じょばんには、まるでどきどきして、あたまをやけにふりました。)
ジョバンニは、まるでどきどきして、頭をやけに振りました。