カラマーゾフの兄弟4

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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 りく 5500 A 5.6 97.4% 995.4 5625 150 87 2024/10/29

関連タイピング

問題文

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(これとどうようにあでらいーだみうーそふのこうどうは、うたがいもなくたにんの)

これと同様にアデライーダ・ミウーソフの行動は、疑いもなく他人の

(しそうのはんえいであり、とらわれたしそうにしげきされたものであった。ことによ)

思想の反映であり、囚われた思想に刺激されたものであった。ことによ

(ると、かのじょはじょせいのどくりつをせんげんし、しゃかいのやくそくや、しんせきかぞくのあっせいにはん)

ると、彼女は女性の独立を宣言し、社会の約束や、親戚家族の圧制に反

(こうしてすすみたかったのかもしれない。また、ごていねいにもくうそうのおかげで)

抗して進みたかったのかもしれない。また、御丁寧にも空想のおかげで

(、かのじょは、ふょーどるぱーヴろヴぃっちがいそうろうのみぶんでこそあれ、むき)

、彼女は、フョードル・パーヴロヴィッチが居候の身分でこそあれ、向

(じょうのとじょうにあるかどきにおける、もっともゆうかんにしてもっともひにくなにんげんのひとり)

上の途上にある過度期における、最も勇敢にして最も皮肉な人間の一人

(であると、たといいっしゅんかんだけにもせよ、おもいこんでしまったのであろう)

であると、たとい一瞬間だけにもせよ、思いこんでしまったのであろう

(。そのみ、あいてはしょうこんのよくないどうけものにすぎなかった。なおそのうえ)

。その実、相手は性根のよくない道化者にすぎなかった。なおそのうえ

(につうかいなのは、かけおちというひじょうしゅだんをとったことで、これがまた、)

に痛快なのは、駆け落ちという非常手段を取ったことで、これがまた、

(すっかりあでらいーだいわーのヴなのこころをひきつけてしまったのであ)

すっかりアデライーダ・イワーノヴナの心を引きつけてしまったのであ

(る。ふょーどるぱーヴろヴぃっちにしてみれば、じぶんのしゃかいてきちいか)

る。フョードル・パーヴロヴィッチにしてみれば、自分の社会的地位か

(らいって、このくらいのきわどいげいとうはこちらからすすんでやりたいくら)

らいって、このくらいのきわどい芸当はこちらから進んでやりたいくら

(いであった。というのは、しゅだんなどはもんだいでなく、ただただしゅっせのいと)

いであった。というのは、手段などは問題でなく、ただただ出世のいと

(ぐちをみつけたいいっしんだったからである。めいもんにとりいって、じさんきんを)

ぐちを見つけたい一心だったからである。名門に取り入って、持参金を

(せしめるということは、きわめてゆうわくてきなことであった。そうごのあいじょうな)

せしめるということは、きわめて誘惑的なことであった。相互の愛情な

(どというものにいたっては、おんなのほうはもとより、おとこのほうにも、あでら)

どというものに至っては、女のほうはもとより、男のほうにも、アデラ

(いーだいわーのヴなのびぼうびぼうをもってしても、なおぜんぜんなかった)

イーダ・イワーノヴナの美貌びぼうをもってしても、なお全然なかった

(ようである。かようなわけで、ほんのちょっとでもむこうがいろけをみせ)

ようである。かようなわけで、ほんのちょっとでも向こうが色気を見せ

(ると、あいてがどんなおんなであろうとも、すぐにしつこくつきまとわずには)

ると、相手がどんな女であろうとも、すぐにしつこくつきまとわずには

(おかないいんとういんとうこのうえもないおとこでいっしょうをとおしたふょーどるぱ)

おかない淫蕩いんとうこのうえもない男で一生を通したフョードル・パ

など

(ーヴろヴぃっちにとっては、これこそいっせいちだいの、おそらくゆいいつのぐうぜん)

ーヴロヴィッチにとっては、これこそ一世一代の、おそらく唯一の偶然

(なことであったろう。それにしても、このおんなばかりはじょうよくのてんからいっ)

なことであったろう。それにしても、この女ばかりは情欲の点からいっ

(て、かれになんらのとくべつなかんめいをあたえなかったのである。)

て、彼になんらの特別な感銘を与えなかったのである。

(あでらいーだいわーのヴなはかけおちのちょくごに、じぶんがおっとおっと)

アデライーダ・イワーノヴナは駆け落ちの直後に、自分が良人おっと

(をけいべつけいべつしているのみで、それいじょうにはなんのかんじょうももっていな)

を軽蔑けいべつしているのみで、それ以上にはなんの感情ももっていな

(いことをたちどころにさとってしまった。かくのごとくして、けっこんのけつまつ)

いことをたちどころに悟ってしまった。かくのごとくして、結婚の結末

(はひじょうなはやさをもってばくろされた。じっかがわがむしろ、かなりはやめにこの)

は非常な速さをもって暴露された。実家側がむしろ、かなり早めにこの

(じけんにあきらめをつけて、いえでをしたむすめにじさんきんをわけてやったのにも)

事件にあきらめをつけて、家出をした娘に持参金を分けてやったのにも

(かかわらず、ふうふのあいだにはきわめてらんみゃくなせいかつと、たえまのないい)

かかわらず、夫婦のあいだにはきわめて乱脈な生活と、絶え間のないい

(ざこざがはじまった。これはいまなおせけんにしられていることであるが、ふ)

ざこざが始まった。これは今なお世間に知られていることであるが、フ

(ょーどるぱーヴろヴぃっちはつまがきんをうけとるやいなや、さっそくに)

ョードル・パーヴロヴィッチは妻が金を受け取るやいなや、さっそく二

(まんごせんるーぶるからのきんをすっかりまきあげてしまった。したがって、)

万五千ルーブルからの金をすっかり巻きあげてしまった。したがって、

(かのじょにとっては、これだけのたいきんが、あとかたもなくきえてしまったわ)

彼女にとっては、これだけの大金が、あとかたもなく消えてしまったわ

(けであるが、せけんのひとのうわさによると、そのさいにもにいづまのほうがおっとより)

けであるが、世間の人の噂によると、その際にも新妻のほうが良人より

(もくらべものにならないほどこうまいこうまいなたいどをしめしたという。やがて)

も比べものにならないほど高邁こうまいな態度を示したという。やがて

(かれは、やはりかのじょのじさんきんのなかにはいっていたちいさなむらと、かなりにたち)

彼は、やはり彼女の持参金の中にはいっていた小さな村と、かなりに立

(はなまちのいえをも、なにかそれそうとうのしょうしょをつくって、じぶんのめいぎにかきかえ)

派な町の家をも、何かそれ相当の証書を作って、自分の名義に書き換え

(ようと、ながいこといっしょうけんめいにほねをおっていたが、たえまなしにあつかま)

ようと、長いこと一生懸命に骨を折っていたが、絶え間なしにあつかま

(しいおねだりやあいがんをして、つまのこころにいわば、けいべつとけんおけんおのねんと)

しいおねだりや哀願をして、妻の心にいわば、軽蔑と嫌悪けんおの念と

(をよびおこし、おんなのほうをこんまけさせて、ただそれだけで、おんなのてをにげ)

をよび起こし、女のほうを根負けさせて、ただそれだけで、女の手を逃

(げようとあせっていたのにそういない。ところが、うんのよかったことには)

げようとあせっていたのに相違ない。ところが、運のよかったことには

(、あでらいーだいわーのヴなのさとかたがなかにはいってこのおうりょうをおさえて)

、アデライーダ・イワーノヴナの里方が仲にはいってこの横領を押えて

(しまった。ふうふのあいだによくつかみあいがあったということはまったくしゅうちの)

しまった。夫婦の間によくつかみ合いがあったということは全く周知の

(ばなしであるが、いいつたえによると、うったのはふょーどるぱーヴろヴぃ)

話であるが、言い伝えによると、打ったのはフョードル・パーヴロヴィ

(っちではなくて、あでらいーだいわーのヴなのほうだという。かのじょは)

ッチではなくて、アデライーダ・イワーノヴナのほうだという。彼女は

(かんしゃくかんしゃくのつよい、むこうみずな、かおのあさぐろい、きみじかなおんなでなみ)

癇癪かんしゃくの強い、向こう見ずな、顔の浅黒い、気短かな女でなみ

(なみならぬわんりょくをふよふよされていた。とうとう、しまいにかのじょは、みっ)

なみならぬ腕力を賦与ふよされていた。とうとう、しまいに彼女は、三

(つになるみーちゃをふょーどるぱーヴろヴぃっちのてにのこして、ひんこん)

つになるミーチャをフョードル・パーヴロヴィッチの手に残して、貧困

(のためにれいらくしかかっているあるかみがっこうでのきょうしとてにてをとっていえで)

のために零落しかかっているある神学校出の教師と手に手をとって家出

(をしてしまった。ふょーどるぱーヴろヴぃっちはたちまちじぶんのいえへ)

をしてしまった。フョードル・パーヴロヴィッチはたちまち自分の家へ

(たくさんのおんなをひきいれて、しゅしょくにふけるようになった。また、そのごう)

たくさんの女を引き入れて、酒色にふけるようになった。また、その合

(いまあいかんには、ほとんどけんかいったいをまわるようにして、あうひとごとにより)

い間合い間には、ほとんど県下一帯を回るようにして、会う人ごとに自

(ぶんをみすてたあでらいーだいわーのヴなのことをなみだながらにうったえたり)

分を見すてたアデライーダ・イワーノヴナのことを涙ながらに訴えたり

(そのうえ、おっととしてくちにするのはあまりにもはずかしいけっこんせいかつのこ)

そのうえ、良人として口にするのはあまりにも恥ずかしい結婚生活の子

(さいをおくめんもなくしゃべりたてたりした。なにはさておき、こうしてしゅうじんの)

細を臆面もなくしゃべり立てたりした。何はさておき、こうして衆人の

(まえで、はずかしめられたおっとというこっけいこっけいなやくわりをえんじたり、あ)

前で、はずかしめられた良人という滑稽こっけいな役割を演じたり、あ

(まつさえ、いろんなじゅんしょくまでほどこしてじぶんがこうむったはずかしめ)

まつさえ、いろんな潤色まで施して自分がこうむったはずかしめ

(をことこまかにえがきだしてみせるのが、かれにとってはゆかいなばかりか、き)

を事こまかに描き出して見せるのが、彼にとっては愉快なばかりか、気

(やすめにさえなったものらしい。「なあに、ふょーどるぱーヴろヴぃっ)

休めにさえなったものらしい。『なあに、フョードル・パーヴロヴィッ

(ちさん、つらいにはつらいでしょうけれど、くらいをさずかったことをおもえば)

チさん、つらいにはつらいでしょうけれど、位を授かったことを思えば

(、まんぞくでしょうに」とくちせいくちさがないれんちゅうがいったりした。それにた)

、満足でしょうに』と口性くちさがない連中が言ったりした。それに多

(くのじんが、かれはときどきどうけもののめんもくをいっしんして、ひとのまえへでるのをうれし)

くの人が、彼はときどき道化者の面目を一新して、人の前へ出るのを嬉

(しがって、いっそうおかしくするために、かれらにじぶんのこっけいなたちばにき)

しがって、いっそうおかしくするために、彼らに自分の滑稽な立場に気

(がつかないようなふりをするのだとよけいなことまでいっていた。もっ)

がつかないようなふりをするのだとよけいなことまで言っていた。もっ

(とも、それはおそらく、かれにあっては、むじゃきなことであったかもしれ)

とも、それはおそらく、彼にあっては、無邪気なことであったかもしれ

(ぬ。ついに、かれはしゅっぽんしたつまのゆくえをつきとめた。あわれなおんなはきょうしとと)

ぬ。ついに、彼は出奔した妻の行方を突きとめた。哀れな女は教師とと

(もにぺてるぶるぐへおちのびて、そこできわめてほんぽうじゆうなかいほうえまん)

もにペテルブルグへ落ちのびて、そこできわめて奔放自由な解放エマン

(しぺーしょんにわくできわくできしていたのであった。ふょーどるぱーヴ)

シペーションに惑溺わくできしていたのであった。フョードル・パーヴ

(ろヴぃっちは、さっそくあわてだして、じしんでぺてるぶるぐへでかける)

ロヴィッチは、さっそくあわて出して、自身でペテルブルグへ出かける

(じゅんびをした。--なんのために?ということは、もとより、じぶんでも)

準備をした。なんのために? ということは、もとより、自分でも

(わからなかった。かれはじっさい、そのときほんとうにいきかねなかったのであろ)

わからなかった。彼は実際、そのとき本当に行きかねなかったのであろ

(うが、しかし、このけっしんをかためるとどうじに、かれはげんきをつけるために、)

うが、しかし、この決心を固めると同時に、彼は元気をつけるために、

(しゅっぱつのまえに、あらためておもいきりひとうかれするのがとうぜんのけんりだとかんがえ)

出発の前に、あらためて思いきりひと浮かれするのが当然の権利だと考

(えついた。ところが、まさにこのときであった。つまがぺてるぶるぐでなく)

えついた。ところが、まさにこの時であった。妻がペテルブルグで亡く

(なったというしらせが、かのじょのさとかたへとどいたのである。かのじょはどうかし)

なったという知らせが、彼女の里方へ届いたのである。彼女はどうかし

(て、どこかのやねうらできゅうになくなったのであった。いっせつにはちふすでな)

て、どこかの屋根裏で急に亡くなったのであった。一説にはチフスで亡

(くなったともいうが、またいっせつにはうえじににしたのだともいわれている)

くなったともいうが、また一説には飢え死にしたのだとも言われている

(。ふょーどるぱーヴろヴぃっちはよいしれているときにつまのふほうふほ)

。フョードル・パーヴロヴィッチは酔いしれているときに妻の訃報ふほ

(うにせっしたが、いきなりおうらいへかけだすと、うれしさのあまりりょうてをちゅうに)

うに接したが、いきなり往来へ駆け出すと、嬉しさのあまり両手を宙に

(さしあげながら、「いまこそおもにがおりた」とさけんだという。またいっせつに)

差し上げながら、『今こそ重荷がおりた』と叫んだという。また一説に

(は、いやなやつではあったが、ちいさなこどものように、おいおいとなくの)

は、いやなやつではあったが、小さな子供のように、おいおいと泣くの

(で、みるめにもかあわれみかわいそうなほどであった、ともいわれている。そ)

で、見る目にも可哀かわいそうなほどであった、ともいわれている。そ

(れもこれもおおいにありそうなことである。つまり、かいほうされたことをき)

れもこれも大いにありそうなことである。つまり、解放されたことを喜

(ぶとともに、どうじにかいほうしてくれたつまをおもってないたのであろう。にんげんと)

ぶと共に、同時に解放してくれた妻を思って泣いたのであろう。人間と

(いうものは、たいていのばあいに、たとえあくにんでさえも、われわれがおお)

いうものは、たいていの場合に、たとえ悪人でさえも、われわれがおお

(よそのけんとうをつけているよりもはるかにむじゃきでたんじゅんなものである。わ)

よその見当をつけているよりもはるかに無邪気で単純なものである。わ

(れわれじしんにしてもやはりおなじことである。)

れわれ自身にしてもやはり同じことである。

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