88 ミルグラムの服従実験

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(1960ねんだいにいぇーるだいがくのしんりがくしゃ)

1960年代にイェール大学の心理学者

(すたんりーみるぐらむは、ふくじゅうにかんする)

スタンリー・ミルグラムは、服従に関する

(いちれんのおそろしいじっけんをおこなった。このじっけんを)

一連の恐ろしい実験を行った。この実験を

(とおしてみるぐらむは、にんげんのりょうしんがじょうきょうに)

通してミルグラムは、人間の良心が状況に

(よってむりょくになるようすをあきらかにした。)

よって無力になる様子を明らかにした。

(そのせいかは、だいにじせかいたいせんちゅうの)

その成果は、第二次世界大戦中の

(ほろこーすと、ヴぇとなむせんそうじの)

ホロコースト、ヴェトナム戦争時の

(そんみむらぎゃくさつじけん、るわんだぎゃくさつなど、)

ソンミ村虐殺事件、ルワンダ虐殺など、

(げんだいのざんぎゃくじけんをせつめいするのにかつようされている。)

現代の残虐事件を説明するのに活用されている。

(まずみるぐらむは、だんじょのひけんしゃを、)

まずミルグラムは、男女の被験者を、

(べんごし、しょうぼうし、けんせつろうどうしゃなどしゃかいの)

弁護士、消防士、建設労働者など社会の

(あらゆるかいそうからちゅうしゅつした。ひけんしゃには、)

あらゆる階層から抽出した。被験者には、

(これはがくしゅうとばつのかんけいについてのじっけんであり、)

これは学習と罰の関係についての実験であり、

(さんかすればいちじかんあたり4どる50せんとの)

参加すれば一時間あたり4ドル50セントの

(てあてをしきゅうするとつたえ、これにぜんいんが)

手当てを支給すると伝え、これに全員が

(どういした。じっけんでは、ひけんしゃははくいをきた)

同意した。実験では、被験者は白衣を着た

(はかせから、あなたは「きょうしやく」となり、)

博士から、あなたは「教師役」となり、

(たんごりすとをよみあげて、「せいとやく」のじんぶつに)

単語リストを読み上げて、「生徒役」の人物に

(かんれんするたんごをあてさせるてすとをおこなうように)

関連する単語を当てさせるテストを行うように

(としじされる。このせいとやくはとなりのへやにいて、)

と指示される。この生徒役は隣の部屋にいて、

など

(ひけんしゃにはすがたはみえないが、こえはきこえる。)

被験者には姿は見えないが、声は聞こえる。

(きょうしやくは、せいとやくがこたえをまちがえたら)

教師役は、生徒役が答えを間違えたら

(でんきしょっくをあたえるようにとしじされ、)

電気ショックを与えるようにと指示され、

(しかもこたえをまちがうたびにでんあつをあげるよう)

しかも答えを間違うたびに電圧を上げるよう

(めいじられる。でんきしょっくは、すいっちに)

命じられる。電気ショックは、スイッチに

(「けいどのしょっく」とかかれた15ぼるとから)

「軽度のショック」と書かれた15ボルトから

(はじまり、「きけん:もうれつなしょっく」をこえた)

始まり、「危険:猛烈なショック」を超えた

(450ぼるとまであたえることがかのうだった。)

450ボルトまで与えることが可能だった。

(もちろん、ほんとうのじっけんたいしょうはきょうしやくのほうで、)

もちろん、本当の実験対象は教師役の方で、

(どれほどつよいばつをあたえるかをみるのが)

どれほど強い罰を与えるかを見るのが

(もくてきだった。せいとやくははいゆうがえんじており、)

目的だった。生徒役は俳優が演じており、

(180ぼるとになると、いたくてがまんできないと)

180ボルトになると、痛くて我慢できないと

(おおごえでさけぶ。300ぼるとになると、じっけんを)

大声で叫ぶ。300ボルトになると、実験を

(やめたいという。330ぼるとでは、なにも)

やめたいと言う。330ボルトでは、何も

(いわずにだまったままになる。じっけんけっかは、)

言わずに黙ったままになる。実験結果は、

(すたんりーみるぐらむのよそうにはんするもの)

スタンリー・ミルグラムの予想に反するもの

(で、ひけんしゃの65%がさいごの450ぼるとまで)

で、被験者の65%が最後の450ボルトまで

(ばつをあたえ、それは、せいとやくにはかるいしんぞうびょうが)

罰を与え、それは、生徒役には軽い心臓病が

(あるときいてもかわらなかった。きょうしやくの)

あると聞いても変わらなかった。教師役の

(おおくがつよいふあんをいだいた(ながれるほどのあせを)

多くが強い不安を抱いた(流れるほどの汗を

(かいたり、くちびるをかんだりした)が、はくいをきた)

かいたり、唇をかんだりした)が、白衣を着た

(じっけんしゃにつよくうながされると、りょうしんのかしゃくを)

実験者に強く促されると、良心の呵責を

(かんじながらもじっけんをつづけた。)

感じながらも実験を続けた。

(みるぐらむのじっけんは、そのしゅほうがりんりてきに)

ミルグラムの実験は、その手法が倫理的に

(もんだいだったことと、そのけっかがあまりに)

問題だったことと、その結果があまりに

(おそろしかったことから、1960ねんだいのがっかいに)

恐ろしかったことから、1960年代の学界に

(しょうげきをあたえた。しかしかれのけんきゅうにより、)

衝撃を与えた。しかし彼の研究により、

(ふつうのひとびとはけんいしゃがいるだけでじんどうてきでない)

普通の人々は権威者がいるだけで人道的でない

(こういをおこなうようゆうどうされてしまうことが)

行為を行うよう誘導されてしまうことが

(あきらかとなった。また、ひけんしゃとぎせいしゃの)

明らかとなった。また、被験者と犠牲者の

(しんりてききょりがおおきければおおきいほど、)

心理的距離が大きければ大きいほど、

(さいごまでめいれいにしたがうけいこうがつよくなることも)

最後まで命令に従う傾向が強くなることも

(わかった。きょうしやくがもんだいをだすだけで)

分かった。教師役が問題を出すだけで

(しょっくをあたえないばあい、90%がじっけんを)

ショックを与えない場合、90%が実験を

(さいごまでぞっこうした。しかし、しょっくを)

最後まで続行した。しかし、ショックを

(あたえるためきょうしやくがせいとやくのからだにふれなくては)

与えるため教師役が生徒役の体に触れなくては

(ならないばあい、450ぼるとまであげたのは)

ならない場合、450ボルトまで上げたのは

(わずか30%しかいなかった。)

わずか30%しかいなかった。

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