落語 死神1
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問題文
(いつわりのあるよなりけりかんなづきびんぼうがみはみをもはなれず)
偽りのある世なりけり神無月 貧乏神は身をも離れず
(なんてうたがのこってございます。)
なんて唄が残ってございます。
(やおよろずかみともうしまして、にほんにはものすごいかずのかみさまがいるんだそうですな。)
八百万神と申しまして、日本には物凄い数の神様がいるんだそうですな。
(ただ、あまりつきあいたくないかみさまもございまして...)
ただ、あまり付き合いたくない神様もございまして...
(ちょいと、おまえさん、)
女房「ちょいと、お前さん、
(ひるまっからごろごろしてさけばかりのんでないでさ、)
昼間っからごろごろして酒ばかり呑んでないでさ、
(すこしはかせぎにでたらどうなんだい?)
少しは稼ぎに出たらどうなんだい?
(こどものなりをごらんよ、こどものなりを!)
子供のなりをご覧よ、子供のなりを!
(こんなぼろぼろのきものをきせて、まるでぞうきんじゃないかさぁ。)
こんなぼろぼろの着物を着せて、まるで雑巾じゃないかサァ。
(おまんまだってろくにたべさせてないんだよ。)
おまんまだってろくに食べさせてないんだよ。
(こんなんで、よくさけがのめるねぇ)
こんなんで、よく酒が呑めるねェ
(ちょいと...ちょいと、おまえさん、)
ちょいと...ちょいと、お前さん、
(きいてんのかい!?)
聞いてんのかい!?」
(あぁ!?うるせぇなぁ、てめぇは...)
八五郎「あぁ!?うるせぇなぁ、てめぇは...
(きいてるよ...きいてますよってんだ、ったく...)
聞いてるよ...聞いてますよってんだ、ったく...
(てめぇは、なにかってぇとがみがみいいやがって...)
てめぇは、ナニかってぇとガミガミ言いやがって...
(ぜにがねぇ?んなこたぁわかってらぁ。)
銭がねぇ? ンなこたぁわかってらぁ。
(ぜにがねぇからこうやってのこりもののさけをのんでんじゃねぇか。)
銭がねぇからこうやって残り物の酒を呑んでんじゃねぇか。
(ぜにがありゃあとっくのむかしにさけにかえてるよ!)
銭がありゃあとっくの昔に酒に換えてるよ!
(へっ、これをのんじまったらもうあとがねぇんだ、)
ヘッ、これを呑んじまったらもう後がねぇんだ、
(ゆっくりあじわわせやがれってんだ...、)
ゆっくり味わわせやがれってんだ...(グビッ、グビッ)、
(ひっく...うぃ~)
ヒック...ウィ~」
(うわっ...ったく、さけくさいいきをかけないでおくれよ!)
女房「ウワッ...ったく、酒臭い息をかけないでおくれよ!」
(おまえはがみがみとうるさくっていけねぇ。)
八五郎「お前はガミガミとうるさくっていけねぇ。
(がきをみならえ、がきを!)
ガキを見習え、ガキを!
(さっきからそうやって、だまっておとなしくしてるじゃねぇか)
さっきからそうやって、黙って大人しくしてるじゃねぇか」
(あんたのことがこわいからだまってるんじゃないか。)
女房「あんたのことが恐いから黙ってるんじゃないか。
(みてごらんよ、ふるえてるじゃないか!)
見てご覧よ、震えてるじゃないか!
(まったく、こどもをこんなにおびえさせて、なんておやだろうね!)
まったく、子供をこんなに怯えさせて、なんて親だろうね!
(ろくなかせぎもないくせにさけばっかりくらって、)
ロクな稼ぎも無いくせに酒ばっかりくらって、
(あんたみたいなごくつぶしはとうふのかどにあたまぶつけてしんじまいな!)
あんたみたいな穀潰しは 豆腐の角に頭ぶつけて死んじまいな!」
(...へっ、とうふをかうかねがありゃあくろうしねぇや...)
八五郎「...へっ、豆腐を買う金がありゃあ苦労しねぇや...」
(このろくでなし!とうへんぼく!もうかおもみたくないよ!でてけ!)
女房「このロクでなし!唐変木!もう顔も見たくないよ!出てけ!」
(へっ、でてくよ...でてってやらぁ!)
八五郎「へっ、出てくよ...出てってやらァ!」