紫式部 源氏物語 若紫 15 與謝野晶子訳

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2 □「いいね」する 7718 7.9 96.8% 376.5 3003 97 48 2024/10/22
3 subaru 7653 7.8 97.1% 378.8 2988 89 48 2024/10/23
4 りつ 4090 C 4.3 95.3% 709.9 3054 150 48 2024/10/24
5 ayame 83 2291 F++ 2.5 92.1% 1205.4 3018 256 48 2024/10/23

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問題文

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(「みやさまのおやしきへおつれになることになっておりますが、おかあさまのごせいぜんに)

「宮様のお邸へおつれになることになっておりますが、お母様の御生前に

(いろんなれいこくなことをなさいましたおくさまがいらっしゃるのでございますから、)

いろんな冷酷なことをなさいました奥さまがいらっしゃるのでございますから、

(それがいっそずっとおちいさいとか、またなんでもおわかりになるとしごろになって)

それがいっそずっとお小さいとか、また何でもおわかりになる年ごろになって

(いらっしゃるとかすればいいのでございますが、ちゅうとはんぱなおとしで、おおぜい)

いらっしゃるとかすればいいのでございますが、中途半端なお年で、おおぜい

(おこさまのいらっしゃるなかでかるいものにおあつかわれになることになってはと、あまぎみも)

お子様のいらっしゃる中で軽い者にお扱われになることになってはと、尼君も

(しじゅうそれをくろうになさいましたが、みやさまのおうちのことをききますと、まったく)

始終それを苦労になさいましたが、宮様のお内のことを聞きますと、まったく

(とりこしぐろうでなさそうなんでございますから、あなたさまのおきまぐれから)

取り越し苦労でなさそうなんでございますから、あなた様のお気まぐれから

(おっしゃってくださいますことも、とおいしょうらいにまでにはたとえどうなりますと)

おっしゃってくださいますことも、遠い将来にまでにはたとえどうなりますと

(しても、おすくいのてにちがいないとわたくしどもはおもわれますが、おくさまになどとはそうぞうも)

しても、お救いの手に違いないと私どもは思われますが、奥様になどとは想像も

(ゆるされませんようなおこどもらしさでございまして、ふつうのあのとしごろよりも)

許されませんようなお子供らしさでございまして、普通のあの年ごろよりも

(もっともっとあかさまなのでございます」 としょうなごんがいった。)

もっともっと赤様なのでございます」 と少納言が言った。

(「そんなことはどうでもいいじゃありませんか、わたくしがくりかえしくりかえしこれまで)

「そんなことはどうでもいいじゃありませんか、私が繰り返し繰り返しこれまで

(もうしあげていることをなぜむししようとなさるのですか。そのようちなかたをわたくしが)

申し上げていることをなぜ無視しようとなさるのですか。その幼稚な方を私が

(すきでたまらないのは、こればかりはぜんしょうのえんにちがいないと、それをわたくしが)

好きでたまらないのは、こればかりは前生の縁に違いないと、それを私が

(きゃっかんてきにみてもおもわれます。ゆるしてくだすって、このこころもちをちょくせつにょおうさんに)

客観的に見ても思われます。許してくだすって、この心持ちを直接女王さんに

(はなさせてくださいませんか。 )

話させてくださいませんか。

(あしわかのうらにみるめはかたくともこはたちながらかえるなみかは )

あしわかの浦にみるめは難くともこは立ちながら帰る波かは

(わたくしをおみくびりになってはいけません」 げんじがこういうと、)

私をお見くびりになってはいけません」 源氏がこう言うと、

(「それはもうほんとうにもったいなくおもっているのでございます。 )

「それはもうほんとうにもったいなく思っているのでございます。

(よるなみのこころもしらでわかのうらにたまもなびかんほどぞうきたる )

寄る波の心も知らで和歌の浦に玉藻なびかんほどぞ浮きたる

など

(このことだけはごしんようができませんけれど」 )

このことだけは御信用ができませんけれど」

(ものなれたしょうなごんのおうせつのしように、げんじはなにをいわれてもふかいには)

物馴れた少納言の応接のしように、源氏は何を言われても不快には

(おもわれなかった。「としをへてなどこえざらんおうさかのせき」というこかを)

思われなかった。「年を経てなど越えざらん逢坂の関」という古歌を

(くちずさんでいるげんじのびおんにわかいにょうぼうたちはよったようなきもちになっていた。)

口ずさんでいる源氏の美音に若い女房たちは酔ったような気持ちになっていた。

(にょおうはこんやもまたそぼをこいしがってないたときに、あそびあいてのどうじょが、)

女王は今夜もまた祖母を恋しがって泣いた時に、遊び相手の童女が、

(「のうしをきたかたがきていらっしゃいますよ。みやさまが)

「直衣を着た方が来ていらっしゃいますよ。宮様が

(きていらっしゃるのでしょう」 といったので、おきてきて、)

来ていらっしゃるのでしょう」 と言ったので、起きて来て、

(「しょうなごん、のうしきたかたどちら、みやさまなの」 こういいながらめのとのそばへ)

「少納言、直衣着た方どちら、宮様なの」 こう言いながら乳母のそばへ

(よってきたこえがかわいかった。これはちちみやではなかったが、やはりふかいあいを)

寄って来た声がかわいかった。これは父宮ではなかったが、やはり深い愛を

(しょうにょおうにもつげんじであったから、こころがときめいた。 「こちらへいらっしゃい」)

小女王に持つ源氏であったから、心がときめいた。 「こちらへいらっしゃい」

(といったので、ちちみやでなくげんじのきみであることをしったにょおうは、さすがに)

と言ったので、父宮でなく源氏の君であることを知った女王は、さすがに

(うっかりとしたことをいってしまったとおもうふうで、めのとのそばへよって、)

うっかりとしたことを言ってしまったと思うふうで、乳母のそばへ寄って、

(「さあいこう。わたくしはねむいのだもの」 という。)

「さあ行こう。私は眠いのだもの」 と言う。

(「もうあなたはわたくしにごえんりょなどしないでもいいんですよ。わたくしのひざのうえへ)

「もうあなたは私に御遠慮などしないでもいいんですよ。私の膝の上へ

(おやすみなさい」 とげんじがいった。)

お寝みなさい」 と源氏が言った。

(「おはなししましたとおりでございましょう。こんなあかさまなのでございます」)

「お話ししましたとおりでございましょう。こんな赤様なのでございます」

(めのとにげんじのほうへおしよせられて、にょおうはそのままむしんにすわっていた。)

乳母に源氏のほうへ押し寄せられて、女王はそのまま無心にすわっていた。

(げんじがみすのしたからてをいれてさぐってみるとやわらかいきもののうえに、ふさふさと)

源氏が御簾の下から手を入れて探ってみると柔らかい着物の上に、ふさふさと

(かかったはしのあついかみがてにふれてうつくしさがおもいやられるのである。)

かかった端の厚い髪が手に触れて美しさが思いやられるのである。

(てをとらえると、ちちみやでもないだんせいのちかづいてきたことがおそろしくて、)

手をとらえると、父宮でもない男性の近づいてきたことが恐ろしくて、

(「わたくし、ねむいといっているのに」 といっててをひきいれようとするのについて)

「私、眠いと言っているのに」 と言って手を引き入れようとするのについて

(げんじはみすのなかへはいってきた。 「もうわたくしだけが)

源氏は御簾の中へはいって来た。 「もう私だけが

(あなたをあいするひとなんですよ。わたくしをおにくみになってはいけない」)

あなたを愛する人なんですよ。私をお憎みになってはいけない」

(げんじはこういっている。しょうなごんが、 「よろしくございません。)

源氏はこう言っている。少納言が、 「よろしくございません。

(たいへんでございます。おはなしになりましてもなんのききめも)

たいへんでございます。お話しになりましても何の効果も

(ございませんでしょうのに」 とこまったようにいう。)

ございませんでしょうのに」 と困ったように言う。

(「いくらなんでもわたくしはこのちいさいにょおうさんをじょうじんにしようとはしない。まあわたくしが)

「いくら何でも私はこの小さい女王さんを情人にしようとはしない。まあ私が

(どれほどせいじつであるかをごらんなさい」 そとはみぞれがふっていてすごいよるである。)

どれほど誠実であるかを御覧なさい」 外は霙が降っていて凄い夜である。

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