星の王子さま 5

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投稿者投稿者深瀬もなかいいね0お気に入り登録
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星の王子さま 河野万里子訳

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問題文

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(おうじさまのほしや、 そこをでてきたときのことや、)

王子さまの星や、 そこを出てきたときのことや、

(これまでのたびについて、 ぼくはまいにちあたらしいことをしっていった。)

これまでの旅について、 僕は毎日新しいことを知っていった。

(おうじさまがかたわらであれこれかんがえるにつれて、)

王子さまがかたわらであれこれ考えるにつれて、

(しぜんとぼくにもわかってきたのだ。)

自然と僕にもわかってきたのだ。

(そうしてみっかめには、 ばおばぶとのたたかいのはなしをしった。)

そうして三日目には、 バオバブとの闘いの話を知った。

(このときも、 きっかけをつくってくれたのはひつじだった。)

このときも、 きっかけをつくってくれたのはヒツジだった。

(ふいにおうじさまが、しんぱいでたまらなくなったように、 こうきいてきたのだ。)

不意に王子さまが、心配でたまらなくなったように、 こう聞いてきたのだ。

(「ひつじがちいさなきをたべるって、ほんとだよね?」)

「ヒツジが小さな木を食べるって、ほんとだよね?」

(「うん、ほんとだ」)

「うん、ほんとだ」

(「ああよかった!」)

「ああよかった!」

(ひつじがちいさなきをたべるのが、 なぜそんなにだいじなことなのか、)

ヒツジが小さな木を食べるのが、 なぜそんなに大事なことなのか、

(ぼくにはわからなかった。)

僕にはわからなかった。

(するとおうじさまは、さらにきいた。)

すると王子さまは、さらに聞いた。

(「じゃあ、ばおばぶもたべる?」)

「じゃあ、バオバブも食べる?」

(ぼくはおうじさまにいった。)

僕は王子さまに言った。

(ばおばぶはちいさなきなんかじゃなくて、 きょうかいのたてものみたいにきょだいだから、)

バオバブは小さな木なんかじゃなくて、 教会の建物みたいに巨大だから、

(ぞうのむれをひきつれていったって たべきれやしない、と。)

ゾウの群れを引きつれていったって 食べきれやしない、と。

(ぞうのむれをおもいえがいて、 おうじさまはわらった。)

ゾウの群れを思いえがいて、 王子さまは笑った。

(「いっぱいつみかさねないと、 ぼくのところにははいらないよ・・・・・・」)

「いっぱい積みかさねないと、 ぼくのところには入らないよ……」

(でもそれから、かしこそうなひとみをかがやかせた。)

でもそれから、賢そうな瞳を輝かせた。

など

(「ばおばぶも、おおきくなるまえはちいさいでしょ」)

「バオバブも、大きくなる前は小さいでしょ」

(「それはそうだ!でもどうして、)

「それはそうだ!でもどうして、

(ちいさなばおばぶをひつじにたべてもらいたいの?」)

小さなバオバブをヒツジに食べてもらいたいの?」

(するとおうじさまは)

すると王子さまは

(「そんなのあたりまえ!」)

「そんなのあたりまえ!」

(と、わかりきったことのようにいった。)

と、分かりきったことのように言った。

(おかげでぼくは、ひとりでこのもんだいをりかいしようと、)

おかげで僕は、ひとりでこの問題を理解しようと、

(いっしょうけんめい あたまをつかわなくてはならなくなった。)

いっしょうけんめい 頭を使わなくてはならなくなった。

(それはこういうことだった。)

それはこういうことだった。

(おうじさまのほしにも、ほかのほしとおなじように、 いいくさとわるいくさがあった。)

王子さまの星にも、ほかの星と同じように、 いい草と悪い草があった。

(そうしていいくさにはいいたねが、 わるいくさにはわるいたねができる。)

そうしていい草にはいい種が、 悪い草には悪い種ができる。

(でもたねはめにつかない。)

でも種は目につかない。

(つちのなかでひっそりねむっている。)

土のなかでひっそり眠っている。

(やがてどれかひとつが、 めをさまそうかなというきになると、)

やがてどれかひとつが、 目をさまそうかなという気になると、

(のびをして、はじめはおずおずと、)

伸びをして、はじめはおずおずと、

(なんのがいもないみずみずしいちいさなくきを、 たいようのひかりにむかってのばすわけだ。)

なんの害もないみずみずしい小さな茎を、 太陽の光にむかって伸ばすわけだ。

(それがもしらでぃっしゅやばらのくきなら のびるままにしておいてもいいだろう。)

それがもし二十日大根やバラの茎なら 伸びるままにしておいてもいいだろう。

(けれどもしわるいしょくぶつだったなら、 みつけたとたんにぬかなくてはいけない。)

けれどもし悪い植物だったなら、 見つけたとたんに抜かなくてはいけない。

(ちいさなおうじさまのほしには、 まさにそうしたとんでもないたねがあった・・・・・・)

小さな王子さまの星には、 まさにそうしたとんでもない種があった……

(それが、ばおばぶのたねだったのだ。)

それが、バオバブの種だったのだ。

(しかもほしのつちは、たねだらけだった。)

しかも星の土は、種だらけだった。

(そもそもばおばぶは、ぬくのがおそくなると、 にどととりのぞけなくなる。)

そもそもバオバブは、抜くのが遅くなると、 二度と取りのぞけなくなる。

(そうしてほしぜんたいをおおう。)

そうして星全体をおおう。

(ねがほしをかんつうする。)

根が星を貫通する。

(ほしはとてもちいさいから、 そんなばおばぶがふえすぎると、)

星はとても小さいから、 そんなバオバブが増えすぎると、

(ついにははれつしてしまう。)

ついには破裂してしまう。

(「まいにちのきまりにすればいいんだよ」)

「毎日の決まりにすればいいんだよ」

(のちにおうじさまはいった。)

のちに王子さまは言った。

(「あさ、じぶんのみづくろいがすんだら、)

「朝、自分の身づくろいがすんだら、

(こんどはほしのみづくろいをていねいにしてあげるんだ。)

今度は星の身づくろいをていねいにしてあげるんだ。

(それでそのとき、 これはばらじゃなくてばおばぶだってわかったらすぐに、)

それでそのとき、 これはバラじゃなくてバオバブだってわかったらすぐに、

(きちんとぬくようにする。)

きちんと抜くようにする。

(はじめのうちは、 ばらとばおばぶってよくにているから。)

はじめのうちは、 バラとバオバブってよく似ているから。

(おもしろくもないしごとだけど、とってもかんたんさ」)

おもしろくもない仕事だけど、とってもかんたんさ」

(あるひ、このことをぼくのほし、 つまりちきゅうのこどもたちも、)

ある日、このことを僕の星、 つまり地球の子どもたちも、

(よくあたまにいれておけるように、)

よく頭に入れておけるように、

(いいえをいちまいがんばってかいておいたほうがいいと、)

いい絵を一枚がんばって描いておいたほうがいいと、

(おうじさまはすすめてくれた。)

王子さまはすすめてくれた。

(「いつかそのこたちがたびをするときに、 やくにたつとおもうよ。)

「いつかその子たちが旅をするときに、 役に立つと思うよ。

(しごとには、さきのばしにしてもだいじょうぶなものも、 たまにある。)

仕事には、先延ばしにしてもだいじょうぶなものも、 たまにある。

(でもばおばぶのばあいは、 ぜったいにとりかえしがつかなくなる。)

でもバオバブの場合は、 ぜったいに取りかえしがつかなくなる。

(ぼく、なまけものがすんでたほしをしってるんだ。)

ぼく、なまけ者が住んでた星を知ってるんだ。

(そいつ、ばおばぶのちいさなきをさんぼんほっておいたから・・・・・・」)

そいつ、バオバブの小さな木を三本ほっておいたから……」

(そこでぼくは、 おうじさまのはなしのとおりに、そのほしをかいた。)

そこで僕は、 王子さまの話のとおりに、その星を描いた。

(もともとぼくは、 おせっきょうくさいことをいうのはすきではない。)

もともと僕は、 お説教くさいことを言うのは好きではない。

(でもばおばぶのおそろしさはあまりにしられていないし、)

でもバオバブのおそろしさはあまりに知られていないし、

(しょうわくせいでみちにまよったひとにふりかかるきけんも あまりにおおきいので、)

小惑星で道に迷った人にふりかかる危険も あまりに大きいので、

(こんかいだけとくべつに、おもいきっていうことにする。)

今回だけ特別に、思いきって言うことにする。

(<こどもたちよ!ばおばぶにきをつけろ!>)

<子どもたちよ!バオバブに気をつけろ!>

(このえをいっしょうけんめいかいたのも、)

この絵をいっしょうけんめい描いたのも、

(きみたちともだちが、ぼくとおなじように、)

きみたち友だちが、僕と同じように、

(ながねんなにもしらずに きけんととなりあわせてきたことをしらせるためなのだ。)

長年なにも知らずに 危険と隣りあわせてきたことを知らせるためなのだ。

(このちゅうこくに、みみをかたむけてそんはない。)

この忠告に、耳をかたむけて損はない。

(きみたちはもしかしたらこうおもうかもしれない。)

きみたちはもしかしたらこう思うかもしれない。

(このほんには、 どうしてこのばおばぶとおなじくらいどうどうとしたりっぱなえが、)

この本には、 どうしてこのバオバブと同じくらい堂々とした立派な絵が、

(ほかにないんだろう、と。)

ほかにないんだろう、と。

(なんのことはない。)

なんのことはない。

(やってみたがうまくいかなかったのだ。)

やってみたがうまくいかなかったのだ。

(ばおばぶをかいたときには、)

バオバブを描いたときには、

(それぐらいせっぱつまったきもちに かりたてられていたのだ。)

それぐらいせっぱつまった気持ちに 駆りたてられていたのだ。

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