紫式部 源氏物語 榊 11 與謝野晶子訳
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
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1 | HAKU | 7734 | 神 | 7.9 | 97.7% | 406.1 | 3216 | 75 | 52 | 2024/12/08 |
2 | おもち | 7530 | 神 | 7.7 | 97.8% | 415.8 | 3203 | 72 | 52 | 2024/12/13 |
3 | subaru | 7520 | 神 | 7.8 | 95.9% | 406.2 | 3190 | 135 | 52 | 2024/12/10 |
4 | だだんどん | 6300 | S | 6.9 | 91.7% | 459.8 | 3183 | 286 | 52 | 2024/12/14 |
5 | りつ | 4129 | C | 4.3 | 95.8% | 758.6 | 3275 | 142 | 52 | 2024/12/09 |
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問題文
(げんじはちゅうぐうをこいしくおもいながらも、どんなにごじしんがれいこくであったかを)
源氏は中宮を恋しく思いながらも、どんなに御自身が冷酷であったかを
(はんせいおさせするきでひきこもっていたが、こうしていればいるほど)
反省おさせする気で引きこもっていたが、こうしていればいるほど
(みぐるしいほどこいしかった。このきもちをまぎらそうとして、ついでにあきのはなのも)
見苦しいほど恋しかった。この気持ちを紛らそうとして、ついでに秋の花野も
(ながめがてらにうんりんいんへいった。げんじのははぎみのきりつぼのみやすどころのあにぎみの)
ながめがてらに雲林院へ行った。源氏の母君の桐壺の御息所の兄君の
(りっしがいるてらへいって、きょうをよんだり、ほとけづとめもしようとして、)
律師がいる寺へ行って、経を読んだり、仏勤めもしようとして、
(に、さんにちこもっているうちにみにしむことがおおかった。)
二、三日こもっているうちに身にしむことが多かった。
(こだちはもみじをしはじめて、そしてうつろうていくあきくさのはなのあわれなのを)
木立ちは紅葉をし始めて、そして移ろうていく秋草の花の哀れな野を
(ながめていてはいえもわすれるばかりであった。がくそうだけをえらんでとうろんをさせて)
ながめていては家も忘れるばかりであった。学僧だけを選んで討論をさせて
(きいたりした。ばしょがばしょであるだけじんせいのむじょうさばかりがおもわれたが、)
聞いたりした。場所が場所であるだけ人生の無常さばかりが思われたが、
(そのなかでなおげんじはうらめしいひとにもっともこころをひかれているじぶんをはっけんした。)
その中でなお源氏は恨めしい人に最も心を惹かれている自分を発見した。
(あさにちかいげっこうのもとで、そうたちがあかをほとけにそなえるしたくをするのに、)
朝に近い月光のもとで、僧たちが閼伽を仏に供える仕度をするのに、
(からからとおとをさせながら、きくとかもみじとかをそのへんいっぱいに)
からからと音をさせながら、菊とか紅葉とかをその辺いっぱいに
(おりちらしている。こんなことは、ちょっとしたことではあるが、)
折り散らしている。こんなことは、ちょっとしたことではあるが、
(そうにはこんなしごとがあってたいくつをかんじるまもなかろうし、みらいのせかいに)
僧にはこんな仕事があって退屈を感じる間もなかろうし、未来の世界に
(きぼうがもてるのだとおもうとうらやましい、じぶんはじぶんひとりを)
希望が持てるのだと思うとうらやましい、自分は自分一人を
(もてあましているではないかなどとげんじはおもっていた。りっしがとうといこえで)
持てあましているではないかなどと源氏は思っていた。律師が尊い声で
(「ねんぶつしゅじょうせっしゅふしゃ」ととなえてごんぎょうをしているのがうらやましくて、)
「念仏衆生摂取不捨」と唱えて勤行をしているのがうらやましくて、
(このよがじぶんにすてえられないりゆうはなかろうとおもうのといっしょに)
この世が自分に捨てえられない理由はなかろうと思うのといっしょに
(むらさきのにょおうがきがかりになったというのは、たいしたどうしんでもないわけである。)
紫の女王が気がかりになったというのは、たいした道心でもないわけである。
(いくにちかをそとでくらすというようなことをこれまでけいけんしなかったげんじは)
幾日かを外で暮らすというようなことをこれまで経験しなかった源氏は
(こいづまにてがみをなんどもかいておくった。 しゅっけができるかどうかと)
恋妻に手紙を何度も書いて送った。 出家ができるかどうかと
(こころみているのですが、てらのせいかつはさびしくて、こころぼそさがつのるばかりです。)
試みているのですが、寺の生活は寂しくて、心細さがつのるばかりです。
(もうすこしいてほうしたちからおしえてもらうことがあるのでたいりゅうしますが、)
もう少しいて法師たちから教えてもらうことがあるので滞留しますが、
(あなたはどうしていますか。 などと)
あなたはどうしていますか。 などと
(だんしにかざりけもなくかいてあるのがうつくしかった。 )
檀紙に飾り気もなく書いてあるのが美しかった。
(あさぢふのつゆのやどりにきみをおきてよものあらしぞしづこころなき )
あさぢふの露の宿りに君を置きて四方の嵐ぞしづ心なき
(といううたもあるじょうのこもったものであったからむらさきふじんもよんでないた。)
という歌もある情のこもったものであったから紫夫人も読んで泣いた。
(へんじはしろいしきしに、 )
返事は白い式紙に、
(かぜふけばまづぞみだるるいろかわるあさじがつゆにかかるささがに )
風吹けば先づぞ乱るる色かはる浅茅が露にかかるささがに
(とだけかかれてあった。 「じはますますよくなるようだ」)
とだけ書かれてあった。 「字はますますよくなるようだ」
(とひとりごとをいって、びしょうしながらながめていた。しじゅうてがみやうたをかきあっている)
と独言を言って、微笑しながらながめていた。始終手紙や歌を書き合っている
(ふたりは、ふじんのじがまったくげんじのににたものになっていて、それよりもすこし)
二人は、夫人の字がまったく源氏のに似たものになっていて、それよりも少し
(えんなおんならしいところがそっていた。どのてんからいってもじぶんはきょういくにせいこうしたと)
艶な女らしいところが添っていた。どの点からいっても自分は教育に成功したと
(げんじはおもっているのである。さいいんのいられるかもはここにちかいところであったから)
源氏は思っているのである。斎院のいられる加茂はここに近い所であったから
(てがみをおくった。にょうぼうのちゅうじょうあてのには、 ものおもいがつのって、)
手紙を送った。女房の中将あてのには、 物思いがつのって、
(とうとういえをはなれ、こんなところにしゅくはくしていますことも、だれのためであるかとは)
とうとう家を離れ、こんな所に宿泊していますことも、だれのためであるかとは
(だれもごぞんじのないことでしょう。 などとうらみがのべてあった。)
だれもご存じのないことでしょう。 などと恨みが述べてあった。
(とうのさいいんには、 )
当の斎院には、
(かけまくもかしこけれどもそのかみのあきおもおゆるゆうだすきかな )
かけまくも畏けれどもそのかみの秋思ほゆる木綿襷かな
(むかしをいまにしたいとおもいましてもしかたのないことですね。)
昔を今にしたいと思いましてもしかたのないことですね。
(じぶんのいしでとりかえしうるもののように。 となれなれしくかいた)
自分の意志で取り返しうるもののように。 となれなれしく書いた
(あさみどりいろのてがみを、さかきにゆうをかけこうごうしくしたえだにつけておくったのである。)
浅緑色の手紙を、榊に木綿をかけ神々しくした枝につけて送ったのである。
(ちゅうじょうのへんじは、 おなじようなひばかりのつづきますたいくつさから)
中将の返事は、 同じような日ばかりの続きます退屈さから
(よくむかしのことをおもいだしてみるのでございますが、それによって)
よく昔のことを思い出してみるのでございますが、それによって
(あなたさまをれんそうすることもたくさんございます。しかしここではなにもげんざいへは)
あなた様を聯想することもたくさんございます。しかしここでは何も現在へは
(つづいてきていないのでございます、べっせかいなのですから。)
続いて来ていないのでございます、別世界なのですから。
(まだいろいろとかかれてあった。にょおうのはゆうのはしに、 )
まだいろいろと書かれてあった。女王のは木綿の片に、
(そのかみやいかがはありしゆうだすきこころにかけてしのぶらんゆえ )
そのかみやいかがはありし木綿襷心にかけて忍ぶらんゆゑ
(とだけかいてあった。さいいんのおじにはこまかなあじわいはないが、)
とだけ書いてあった。斎院のお字には細かな味わいはないが、
(こうがでかんじのくずしかたなどいぜんよりももっとたくみになられたようである。)
高雅で漢字のくずし方など以前よりももっと巧みになられたようである。
(ましてそのひとじしんのびはどんなにせいちょうしていることであろうと、)
ましてその人自身の美はどんなに成長していることであろうと、
(そんなそうぞうをしてむねをとどろかせていた。しんばつをおもわないように。)
そんな想像をして胸をとどろかせていた。神罰を思わないように。