人間失格【太宰治】7

凄く短い
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | subaru | 7492 | 光 | 7.8 | 95.4% | 174.3 | 1371 | 65 | 24 | 2025/04/07 |
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問題文
(しかしこんなのはほんのささやかないちれいにすぎません)
しかし、こんなのは、ほんのささやかな一例に過ぎません。
(おたがいにあざむきあってしかもいずれもふしぎになんのきずもつかず)
お互いにあざむき合って、しかもいずれも不思議に何の傷もつかず、
(あざむきあっていることにさえきがついていないみたいなじつにあざやかな)
あざむき合っている事にさえ気がついていないみたいな、実にあざやかな。
(それこそきよくあかるくほがらかなふしんのれいが)
それこそ清く明るくほがらかな不信の例が、
(にんげんのせいかつにじゅうまんしているようにおもわれますけれどもじぶんには)
人間の生活に充満しているように思われます。けれども、自分には、
(あざむきあっているということにはさしてとくべつのきょうみもありませんじぶんだって)
あざむき合っているという事には、さして特別の興味もありません。自分だって
(おどけによってあさからばんまでにんげんをあざむいているのですじぶんは)
お道化に依って、朝から晩まで人間をあざむいているのです。自分は、
(しゅうしんきょうかしょてきなせいぎとかなんとかいうどうとくにはあまりかんしんをもてないのです)
修身教科書的な正義とか何とかいう道徳には、あまり関心を持てないのです。
(じぶんにはあざむきあっていながらきよくあかるくほがらかにいきている)
自分には、あざむき合っていながら、清く明るく朗らかに生きている、
(あるいはいきえるじしんをもっているみたいなにんげんがなんかいなのですにんげんは)
或いは生き得る自信を持っているみたいな人間が難解なのです。人間は、
(ついにじぶんにはそのみょうていをおしえてはくれませんでしたそれさえわかったら)
ついに自分にはその妙諦を教えてはくれませんでした。それさえわかったら、
(じぶんはにんげんをこんなにきょうふしまたひっしのさーヴぃすなどしなくて)
自分は、人間をこんなに恐怖し、また、必死のサーヴィスなどしなくて、
(すんだのでしょうにんげんのせいかつとたいりつしてしまって)
すんだのでしょう。人間の生活と対立してしまって、
(ややのじごくのこれほどのくるしみをなめずにすんだのでしょうつまり)
夜々の地獄のこれほどの苦しみを嘗めずにすんだのでしょう。つまり、
(じぶんがげなんげじょたちのにくむべきあのはんざいをさえだれにもうったえなかったのは)
自分が下男下女たちの憎むべきあの犯罪をさえ、誰にも訴えなかったのは、
(にんげんへのふしんからではなくまたもちろんくりすとしゅぎのためでもなく)
人間への不信からではなく、またもちろんクリスト主義のためでもなく、
(じぶんが)
自分が、
(ようぞうというじぶんにたいしてしんようのからをかたくとじていたからだったとおもいます)
葉蔵という自分に対して信用の殻を固く閉じていたからだったと思います。
(ふぼでさえじぶんにとってなんかいなものをときおりみせることがあったのですから)
父母でさえ、自分にとって難解なものを、時折、見せることがあったのですから
(そうしてそのだれにもうったえないじぶんのこどくのにおいがおおくのじょせいに)
そうして、その、誰にも訴えない、自分の孤独のにおいが、多くの女性に、
(ほんのうによってかぎあてられこうねんさまざま)
本能に依って嗅ぎ当てられ、後年さまざま、
(じぶんがつけこまれるゆういんのひとつになったようなきもするのです)
自分がつけ込まれる誘因の一つになったような気もするのです。
(つまりじぶんはじょせいにとって)
つまり、自分は、女性にとって、
(こいのひみつをまもれるおとこであったというわけなのでした)
恋の秘密を守れる男であったというわけなのでした。