オ2 黄泉比良坂

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(にほんしんわのいざなぎのみことといざなみのみことのえぴそーどでしられるさか。)

日本神話の伊邪那岐命と伊邪那美命のエピソードで知られる坂。

(げんせいとよみのくにのきょうかいでかつてはいききできたが、いわでふさがれて)

現生と黄泉の国の境界でかつては行き来できたが、岩で塞がれて

(からじゆうなおうらいはできなくなったとされる。)

から自由な往来はできなくなったとされる。

(いざなぎのみことといざなみのみことはきょうだいでふうふとなったかみ。にちゅうのあいだ)

伊邪那岐命と伊邪那美命は兄妹で夫婦となった神。二柱のあいだ

(にはさまざまなかみがうまれたが、いざなみのみことはひのかみかぐつちを)

には様々な神が生まれたが、伊邪那美命は火の神・迦具土を

(うんださいにじょいんがやけてしんでしまい、いざなぎのみことはつまこいしさに)

産んだ際に女陰が焼けて死んでしまい、伊邪那岐命は妻恋しさに

(よみのくにへとでかけた。ところが、いざなみのみことが「よみのくにの)

黄泉の国へと出かけた。ところが、伊邪那美命が「黄泉の国の

(かみにそうだんするのでのぞかないでください」とちゅういしたにも)

神に相談するので覗かないでください」と注意したにも

(かかわらず、いざなぎのみことはまちきれなくなってくしのはにひを)

かかわらず、伊邪那岐命は待ちきれなくなって櫛の歯に火を

(ともし、うじがわいてやばしらのらいじんがからみついたいざなみのみことのすがたを)

灯し、蛆が湧いて八柱の雷神が絡みついた伊邪那美命の姿を

(みてしまった。そのすがたにつまへのおもいもふきとび、いざなぎのみことは)

見てしまった。その姿に妻への想いも吹き飛び、伊邪那岐命は

(よみのくにからとうぼう。「はじをかかされた」とおこったいざなみのみことが)

黄泉の国から逃亡。「恥をかかされた」と怒った伊邪那美命が

(おってきたので、ちびきのいわでよもっぴらざかのみちをふさいだ。)

追ってきたので、千引の岩で黄泉比良坂の道を塞いだ。

(ところでよみのくにはどこにあったのかだが、いっぱんてきにはちかと)

ところで黄泉の国はどこにあったのかだが、一般的には地下と

(かんがえられている。せかいてきにもむかしはどそうがふつうだったし、そもそも)

考えられている。世界的にも昔は土葬が普通だったし、そもそも

(「よみ」はちゅうごくでちかをさすことば。がいこくのしんわでもめいかいはちかに)

「黄泉」は中国で地下を指す言葉。外国の神話でも冥界は地下に

(ある。ただ、よもっぴらざかとされるばしょはしまねけんまつえしひがしいずもちょうの)

ある。ただ、黄泉比良坂とされる場所は島根県松江市東出雲町の

(とうげにじつざいし、げんちにはしめなわをはったせきちゅうがたてられている。)

峠に実在し、現地には注連縄を張った石柱が建てられている。

(しめなわにはあくりょうをとおざけるほか、しんれいがすむ「たかい」とのきょうかい)

注連縄には悪霊を遠ざけるほか、神霊が住む「他界」との境界

(といういみがあり、そこからさきはよみのくにというわけだ。)

という意味があり、そこから先は黄泉の国というわけだ。

など

(こだいにおいてはししゃをやまにほうむっていたし、やまをいかいとする)

古代においては死者を山に葬っていたし、山を異界とする

(かんがえはふるくからある。しょうせつなどで「ぶきみなさんどうをあるいている)

考えは古くからある。小説などで「不気味な山道を歩いている

(うちに、いつのまにかいかいにまよいこむ」というせっていをたまに)

うちに、いつの間にか異界に迷い込む」という設定をたまに

(みかけるが、これにもちゃんとしたこんきょがあるわけだ。)

見かけるが、これにもちゃんとした根拠があるわけだ。

(ちなみに、このとうげには「しんれいしゃしんがとれる」といううわさもある。)

ちなみに、この峠には「心霊写真が撮れる」という噂もある。

(よみのくにへのいりぐちとまではいかずとも、なんらかのちからが)

黄泉の国への入り口とまではいかずとも、なんらかの力が

(はたらいているちょうじょうてきなばしょではあるようだ。)

働いている超常的な場所ではあるようだ。

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