グロースターの仕立屋 7/13

ベアトリクス・ポター 作
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問題文
(よるじゅう、しんぷきんはへやをくまなくさがした。)
夜じゅう、シンプキンは部屋をくまなく探した。
(おしいれをのぞき、はめいたのしたをのぞき、)
押し入れを覗き、羽目板の下を覗き、
(あのあないとをかくしたどびんのなかまでのぞいてみた。)
あの穴糸をかくした土瓶の中までのぞいてみた。
(けれども、ねずみはいっぴきもみつからなかった。)
けれども、ねずみは一匹も見つからなかった。
(したてやがゆめをみて、なにかをつぶやくたびに、)
仕立屋が夢を見て、なにかをつぶやくたびに、
(しんぷきんは「にゃーお、ぐるるっ!」といい、)
シンプキンは「にゃーお、ぐるるっ!」といい、
(ねこがよくよるだすようなおそろしいこえをだすのだった。)
ねこがよく夜だすような恐ろしい声をだすのだった。
(きのどくに、としとったしたてやはねつをだし、たいへんぐあいがわるく、)
気の毒に、年取った仕立屋は熱を出し、大変具合が悪く、
(べっどのなかであちらこちらへねがえりをうった。)
ベッドの中であちらこちらへ寝返りをうった。
(それでも、ゆめのなかでつぶやいた。)
それでも、夢の中でつぶやいた。
(「あないとがたりぬ、あないとがたりぬ!」)
「穴糸が足りぬ、穴糸が足りぬ!」
(そのひいちにち、またつぎのひも、そのつぎのひも、したてやはびょうきだった。)
その日一日、また次の日も、その次の日も、仕立屋は病気だった。
(べにいろのうわぎはどうなるのだろう?)
べに色の上着はどうなるのだろう?
(にしもんどおりのしたてやのみせでは、ししゅうのついたきぬやさてんがたたれて、)
西門通りの仕立屋の店では、刺繍のついた絹やサテンが裁たれて、
(しごとだいのうえにならんでいた・・・)
仕事台の上に並んでいた・・・
(ぼたんほーるは20とひとつ、)
ボタン・ホールは20と一つ、
(まどはあかぬようとめられて、とにはじょうがおりている・・・)
窓は開かぬよう止められて、戸には錠がおりている・・・
(いったいだれがきて、あれをぬってくれるというのだ?)
いったい誰が来て、あれを縫ってくれるというのだ?
(けれども、とにじょうがおりてはいても、ねずみがはいるには、さしつかえなかった。)
けれども、戸に錠がおりてはいても、ねずみが入るには、差し支えなかった。
(ねずみは、どんなかぎももたずに、)
ねずみは、どんな鍵も持たずに、
(ぐろーすたーじゅうのいえをでたりはいったりできるのだから。)
グロースターじゅうの家を出たり入ったりできるのだから。
(そとでは、まちのひとたちが、がちょうやしちめんちょうをかうために、)
外では、町の人たちが、ガチョウや七面鳥を買うために、
(また、くりすますのぱいのしたくをするために、いちばにでかけていった。)
また、クリスマスのパイの支度をするために、市場に出かけていった。
(けれども、しんぷきんやとしとったしたてやのたべる)
けれども、シンプキンや年取った仕立屋の食べる
(くりすますのごちそうはない。)
クリスマスのごちそうはない。
(したてやは、みっかのあいだ、よるもひるも、びょうきでねていた。)
仕立屋は、三日のあいだ、夜も昼も、病気で寝ていた。
(そして、くりすますいぶのよるもおそくのことだった。)
そして、クリスマス・イブの夜も遅くのことだった。
(つきはいえいえのやねやえんとつのうえにのぼり、)
月は家々の屋根や煙突の上にのぼり、
(おおきなもんをこえて、だいがくのにわをてらしだした。)
大きな門をこえて、大学の庭を照らし出した。
(どのいえのまどにもひかりはみえず、なんのおともきこえなかった。)
どの家の窓にも光は見えず、何の音も聞こえなかった。
(ぐろーすたーのまちじゅうのひとは、ゆきのしたでぐっすりねむっていた。)
グロースターの町中の人は、雪の下でぐっすり眠っていた。
(けれども、しんぷきんは、まだあのねずみをほしがって、)
けれども、シンプキンは、まだあのねずみを欲しがって、
(したてやのべっどのわきにたちあがり、「にゃーお」とないていた。)
仕立屋のベッドの脇に立ちあがり、「にゃーお」とないていた。