銀河鉄道の夜 49

(インディアン)
そのまっ黒な野原のなかをひとりのインデアンが、
白い鳥の羽根を頭につけ、たくさんの石を腕と胸にかざり、
小さな弓に矢をつがえて、一もくさんに汽車を追っているのでした。
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問題文
(しんせかいこうきょうがくは、いよいよはっきりちへいせんのはてからからわき、)
新世界交響楽は、いよいよはっきり地平線のはてからからわき、
(そのまっくろなのはらのなかを)
そのまっ黒な野原のなかを
(ひとりのいんであんがしろいとりのはねをあたまにつけ)
ひとりのインデアンが白い鳥の羽根を頭につけ
(たくさんのいしをうでとむねにかざり、)
たくさんの石を腕と胸にかざり、
(ちいさなゆみにやをつがえて、いちもくさんにきしゃをおっているのでした。)
小さな弓に矢をつがえて、一もくさんに汽車を追っているのでした。
(「あら、いんであんですよ。いんであんですよ。)
「あら、インデアンですよ。インデアンですよ。
(おねえさまごらんなさい。」)
おねえさまごらんなさい。」
(くろふくのせいねんもめをさましました。)
黒服の青年も目をさましました。
(じょばんにもかむぱねるらもたちあがりました。)
ジョバンニもカムパネルラも立ちあがりました。
(「はしってくるわ、はしってくるわ。おいかけているんでしょう。」)
「走ってくるわ、走ってくるわ。追いかけているんでしょう。」
(「いいえ、きしゃをおってるんじゃないんですよ。)
「いいえ、汽車をおってるんじゃないんですよ。
(りょうをするか、おどるかしてるんですよ。」)
猟をするか、踊るかしてるんですよ。」
(せいねんは、いまどこにいるかわすれたというふうに)
青年は、いまどこにいるか忘れたというふうに
(ぽけっとにてをいれて、たちながらいいました。)
ポケットに手を入れて、立ちながらいいました。
(まったくいんであんははんぶんはおどっているようでした。)
まったくインデアンは半分は踊っているようでした。
(だいいち、かけるにしてもあしのふみようが)
第一、かけるにしても足のふみようが
(もっとけいざいもとれ、ほんきにもなれそうでした。)
もっと経済もとれ、本気にもなれそうでした。
(にわかにくっきりしろいそのはねは、まえのほうへたおれるようになり、)
にわかにくっきり白いその羽根は、前の方へ倒れるようになり、
(いんであんはぴたっとたちどまって、すばやくゆみをそらにひきました。)
インデアンはぴたっと立ちどまって、すばやく弓を空にひきました。
(そこからいちわのつるが、ふらふらとおちてきて、)
そこから一羽のツルが、ふらふらと落ちてきて、
(またはしりだしたいんであんのおおきくひろげたりょうてにおちこみました。)
また走り出したインデアンの大きくひろげた両手に落ちこみました。
(いんであんはうれしそうにたってわらいました。)
インデアンはうれしそうに立ってわらいました。
(そしてそのつるをもって、こっちをみているかげも)
そしてそのツルをもって、こっちを見ている影も
(もうどんどんちいさくとおくなり、)
もうどんどん小さく遠くなり、
(でんしんばしらのがいしが、きらっきらっとつづいてふたつばかりひかって、)
電しんばしらの碍子が、きらっきらっと続いて二つばかり光って、
(またとうもろこしのはやしになってしまいました。)
またとうもろこしの林になってしまいました。
(こっちがわのまどをみますと)
こっち側の窓を見ますと
(きしゃはほんとうにたかいたかいがけのうえをはしっていて、)
汽車はほんとうに高い高い崖の上を走っていて、
(そのたにのそこにはかわがやっぱりはばひろくあかるくながれていたのです。)
その谷の底には川がやっぱり幅ひろく明るく流れていたのです。