夏目漱石『坊っちゃん』抜き書き(1/2)

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一から五まで、42題より20題

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(おやゆずりのむてっぽうでこどものときからそんばかりしている。)

親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。

(かんたろうはむろんよわむしである。)

勘太郎は無論弱虫である。

(おやじはちっともおれをかわいがってくれなかった。)

おやじはちっともおれを可愛がってくれなかった。

(おれはなかなかった。しかしもうすこしでなくところであった。)

おれは泣かなかった。しかしもう少しで泣くところであった。

(しっけいなやつだ。かおのなかをおまつりでもとおりゃしまいし。)

失敬な奴だ。顔のなかをお祭りでも通りゃしまいし。

(そんなえらいひとがげっきゅうよんじゅうえんではるばるこんないなかへくるもんか。)

そんなえらい人が月給四十円で遥々こんな田舎へくるもんか。

(このえいごのきょうしもうらなりばかりくってるにちがいない。)

この英語の教師もうらなりばかり食ってるに違いない。

(もっともうらなりとはなんのことかいまもってしらない。)

もっともうらなりとは何の事か今もって知らない。

(おれはこのときからこのぼうずにやまあらしというあだなをつけてやった。)

おれはこの時からこの坊主に山嵐という渾名をつけてやった。

(けっとをかぶって、かまくらのだいぶつをけんぶつしたときはくるまやからおやかたといわれた。)

ケットを被って、鎌倉の大仏を見物した時は車屋から親方と云われた。

(きょうしははたでみるほどらくじゃないとおもった。)

教師ははたで見るほど楽じゃないと思った。

(おれはなにごとによらずながくしんぱいしようとおもってもしんぱいができないおとこだ。)

おれは何事によらず長く心配しようと思っても心配が出来ない男だ。

(おいてんぷらをもってこいとおおきなこえをだした。)

おい天麩羅を持ってこいと大きな声を出した。

(じょうだんもどをすごせばいたずらだ。)

冗談も度を過ごせばいたずらだ。

(わざわざとうきょうから、こんなやつをおしえにきたのかとおもったらなさけなくなった。)

わざわざ東京から、こんな奴を教えに来たのかと思ったら情なくなった。

(にじかんめにもきっとなにかあるとおもうとゆうかくのだんごうまいうまいとかいてある。)

二時間目にもきっと何かあると思うと遊廓の団子旨い旨いと書いてある。

(ほかのところはなにをみてもとうきょうのあしもとにもおよばないがおんせんだけはりっぱなものだ。)

ほかの所は何を見ても東京の足元にも及ばないが温泉だけは立派なものだ。

(なんだかせいとぜんたいがおれひとりをたんていしているようにおもわれた。)

何だか生徒全体がおれ一人を探偵しているように思われた。

(こうちょうなんかになるといやにまがりくねったことばをつかうもんだ。)

校長なんかになるといやに曲りくねった言葉を使うもんだ。

(「なんでばったなんか、おれのとこのなかへいれた」)

「なんでバッタなんか、おれの床の中へ入れた」

など

(いたずらとばつはつきもんだ。ばつがあるからいたずらもこころもちよくできる。)

いたずらと罰はつきもんだ。罰があるからいたずらも心持ちよく出来る。

(いくらにんげんがひきょうだって、こんなにひきょうにできるものじゃない。まるでぶただ。)

いくら人間が卑怯だって、こんなに卑怯に出来るものじゃない。まるで豚だ。

(しょうじきにはくじょうしてしまうが、おれはゆうきのあるわりあいにちえがたりない。)

正直に白状してしまうが、おれは勇気のある割合に智慧が足りない。

(こんなときにはどうしていいかさっぱりわからない。)

こんな時にはどうしていいかさっぱりわからない。

(このままにすましてはおれのかおにかかわる。)

このままに済ましてはおれの顔にかかわる。

(よのなかにしょうじきがかたないで、ほかにかつものがあるか、かんがえてみろ。)

世の中に正直が勝たないで、外に勝つものがあるか、考えてみろ。

(けちなやつらだ。ひとばんぐらいねないで、そんなつらをしておとこといわれるか。)

けちな奴等だ。一晩ぐらい寝ないで、そんな面をして男と云われるか。

(きみつりにいきませんかとあかしゃつがおれにきいた。)

君釣りに行きませんかと赤シャツがおれに聞いた。

(まぐろのにひきやさんびきつったって、びくともするもんか。)

鮪の二匹や三匹釣ったって、びくともするもんか。

(たいしょうたいをつるきとみえる、ごうたんなものだ。)

大将鯛を釣る気と見える、豪胆なものだ。

(これでとうにんはわたしもえどっこでげすなどといってる。)

これで当人は私も江戸っ子でげすなどと云ってる。

(よっぽどなぐりつけてやろうかとおもった。)

よっぽど撲りつけてやろうかと思った。

(そうですね、まるでろしあのぶんがくしゃですねとのだはすぐさんせいしやがる。)

そうですね、まるで露西亜の文学者ですねと野だはすぐ賛成しやがる。

(ていこくぶんがくもつみなざっしだ。)

帝国文学も罪な雑誌だ。

(おかしいことにつれるのも、つれるのも、みんなごるきばかりだ。)

可笑しい事に釣れるのも、釣れるのも、みんなゴルキばかりだ。

(あかしゃつとのだはいっしょうけんめいにひりょうをつっているんだ。きのどくのいたりだ。)

赤シャツと野だは一生懸命に肥料を釣っているんだ。気の毒の至りだ。

(ばっただろうがせっただろうが、ひはおれにあることじゃない。)

バッタだろうが雪踏だろうが、非はおれにある事じゃない。

(なんというちょこざいだろう。)

何という猪口才だろう。

(こいつのいうことはいちいちしゃくにさわるからみょうだ。)

こいつの云う事は一々癪に障るから妙だ。

(のだのおせわになるくらいならくびをくくってしんじまわあ。)

野だのお世話になるくらいなら首を縊って死んじまわあ。

(「しょうじきにしていればだれがじょうじたってこわくはないです」)

「正直にしていれば誰が乗じたって怖くはないです」

(あかしゃつがほほほほとわらったのは、おれのたんじゅんなのをわらったのだ。)

赤シャツがホホホホと笑ったのは、おれの単純なのを笑ったのだ。

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