赤いカブトムシ3/江戸川乱歩
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問題文
(こばやしくんと、だんいんのきむらくんが、)
小林くんと、だんいんの木村くんが、
(おばけやしきのせいようかんのちかしつで、にんげんほどもある、)
おばけやしきのせいようかんのちかしつで、にんげんほどもある、
(おおきなまっかなかぶとむしにであいました。)
大きなまっかなカブトムシに出あいました。
(ふたりは、ちかしつのすみで、そのおそろしいかいぶつをみつめていました。)
ふたりは、ちかしつのすみで、そのおそろしいかいぶつを見つめていました。
(かいぶつをてらしているふたつのかいちゅうでんとうのわが、)
かいぶつをてらしている二つのかいちゅうでんとうのわが、
(ぶるぶるふるえています。)
ぶるぶるふるえています。
(きーっ、きーっと、なんともいえないするどいおとがしました。)
キーッ、キーッと、なんともいえないするどい音がしました。
(おおきなかぶとむしのなきごえです。そのたびに、あのとんがったくちが、)
大きなカブトムシのなき声です。そのたびに、あのとんがった口が、
(ぱくぱくひらくのです。)
ぱくぱくひらくのです。
(おおきなかぶとむしは、ながいろっぽんのあしを、きみわるく、がくん、)
大きなカブトムシは、長い六本の足を、きみわるく、がくん、
(がくんとうごかしながら、ちかしつのなかをぐるぐるとあるきまわりました。)
がくんとうごかしながら、ちかしつの中をぐるぐると歩きまわりました。
(しばらくあるきまわったあとで、いよいよこちらにちかづいてきました。)
しばらく歩きまわったあとで、いよいよこちらに近づいてきました。
(かぶとむしのせなかは、まっかにてらてらとひかっています。ときどき、)
カブトムシのせなかは、まっかにてらてらと光っています。ときどき、
(おおきなはねをひらいて、ぶるんとはばたきのようなことをします。)
大きなはねをひらいて、ぶるんとはばたきのようなことをします。
(そのたびにおそろしいかぜがおこるのです。)
そのたびにおそろしい風が起こるのです。
(もう、にめーとるほどにちかづいてきました。とびだしたおおきなめが、)
もう、二メートルほどに近づいてきました。とび出した大きな目が、
(ぎょろりと、ふたりをにらんでいます。)
ぎょろりと、ふたりをにらんでいます。
(いまにもとびかかってくるかと、ふたりはおもわずみがまえました。)
いまにもとびかかってくるかと、ふたりは思わずみがまえました。
(かぶとむしは、あとあしをまげ、なかのあしとおしりでちょうしをとって、)
カブトムシは、あと足をまげ、中の足とおしりでちょうしをとって、
(ぐうっとたちあがり、まえあしをもがもがやっています。)
ぐうっとたち上がり、まえ足をもがもがやっています。
(きみわるいおなかが、すぐめのまえにみえました。あのまえあしで)
きみわるいおなかが、すぐ目のまえに見えました。あのまえ足で
(つかみかかってくるにちがいないと、いよいよみをかたくしていますと・・・。)
つかみかかってくるにちがいないと、いよいよみをかたくしていますと・・・。
(ああ、そのとき、じつにおどろくべきことがおこりました。)
ああ、そのとき、じつにおどろくべきことがおこりました。
(かぶとむしのおなかのなかに、ぽかんと、しかくいあながあいたのです。)
カブトムシのおなかの中に、ぽかんと、四かくいあながあいたのです。
(しかくいふたのようなものが、したのほうへひらいて、そのふたが、)
四かくいふたのようなものが、下の方へひらいて、そのふたが、
(すべりだいのように、ゆかにとどいたのです。すると、おなかのなかから、)
すべりだいのように、ゆかにとどいたのです。すると、おなかの中から、
(なにかもごもごと、うごめきだしてきたではありませんか。)
なにかもごもごと、うごめき出してきたではありませんか。
(おなかのしかくいあなからはいだしてきたのは、ながさごじっせんちぐらいの、)
おなかの四かくいあなからはい出してきたのは、長さ五十センチぐらいの、
(まっかなかぶとむしでした。だいかぶとむしのはらから、)
まっかなカブトムシでした。大カブトムシのはらから、
(ちゅうかぶとむしがでてきたのです。)
中カブトムシが出てきたのです。
(まさか、こどもをうんだわけではないでしょう。だいかぶとむしは、)
まさか、子どもをうんだわけではないでしょう。大カブトムシは、
(ぷらすちっくかなにかでできているつくりものかもしれません。)
プラスチックかなにかでできている作りものかもしれません。
(そのはらからでてきたちゅうかぶとむしもごじっせんちもあるのですから、)
そのはらから出てきた中カブトムシも五十センチもあるのですから、
(きっとつくりものなのでしょう。)
きっと作りものなのでしょう。
(ちゅうかぶとむしは、ゆかにたれたふたのすべりだいをはいおりて、)
中カブトムシは、ゆかにたれたふたのすべりだいをはいおりて、
(そのへんをぐるぐるとあるきまわりました。)
そのへんをぐるぐると歩きまわりました。
(だいかぶとむしのほうは、そのまま、ごろんとあおむけにひっくりかえって、)
大カブトムシのほうは、そのまま、ごろんとあおむけにひっくりかえって、
(まるでしがいのようにじっとしています。)
まるでしがいのようにじっとしています。
(おおきなせみのぬけがらみたいです。)
大きなセミのぬけがらみたいです。
(ちゅうかぶとむしは、ちかしつをぐるぐるまわったあとで、ふたりのまえへくると、)
中カブトムシは、地下室をぐるぐるまわったあとで、ふたりのまえへ来ると、
(ぐうっとたちあがりました。だいかぶとむしとおなじことをするのです。)
ぐうっとたち上がりました。大カブトムシとおなじことをするのです。
(また、おなかに、ぽかんとあながあきました。そして、そこから、)
また、おなかに、ぽかんとあながあきました。そして、そこから、
(こんどはじゅうごせんちぐらいの、かわいいかぶとむしがはいだしてきました。)
こんどは十五センチぐらいの、かわいいカブトムシがはい出してきました。
(かわいいといっても、じゅうごせんちですから、ほんとうのかぶとむしの)
かわいいといっても、十五センチですから、ほんとうのカブトムシの
(なんばいもある、からだじゅうまっかなおばけかぶとむしです。)
なんばいもある、からだじゅうまっかなおばけカブトムシです。
(ちゅうかぶとむしのほうは、また、せみのぬけがらのように、)
中カブトムシのほうは、また、セミのぬけがらのように、
(ごろんところがっています。)
ごろんところがっています。
(じゅうごせんちのしょうかぶとむしは、ちょこちょことそのへんを)
十五センチの小カブトムシは、ちょこちょことそのへんを
(はいまわっていましたが、やがて、ふたりのまえにくると、またしても)
はいまわっていましたが、やがて、ふたりの前に来ると、またしても
(あとあしでひょいとたちあがりました。)
あと足でひょいとたち上がりました。
(そして、おなじことをくりかえしたのです。)
そして、おなじことをくりかえしたのです。
(じゅうごせんちのかぶとむしのおなかに、よんせんちほどのしかくいあながあいて、)
十五センチのカブトムシのおなかに、四センチほどの四かくいあながあいて、
(そこから、こんどは、ほんものとおなじくらいのおおきさの)
そこから、こんどは、ほんものとおなじくらいの大きさの
(まっかなかぶとむしが、ゆかのうえにすべりだしました。)
まっかなカブトムシが、ゆかの上にすべり出しました。
(ところが、このちいさいかぶとむしは、じゅうごせんちのかぶとむしが)
ところが、この小さいカブトムシは、十五センチのカブトムシが
(ぬけがらになってころがってしまっても、すこしもうごかないのです。)
ぬけがらになってころがってしまっても、すこしもうごかないのです。
(ゆかにおちたまま、じっとしています。)
ゆかにおちたまま、じっとしています。
(これは、しんでいるのでしょうか。)
これは、しんでいるのでしょうか。
(それにしても、なんてかわいらしく、うつくしいかぶとむしなのでしょう。)
それにしても、なんてかわいらしく、うつくしいカブトムシなのでしょう。
(いままでのだいかぶとむしとちがって、これは、まっかないろがるびーのようで、)
いままでの大カブトムシとちがって、これは、まっかな色がルビーのようで、
(からだのなかまですきとおっています。かわいらしいふたつのめは、)
からだの中まですきとおっています。かわいらしい二つの目は、
(まるでだいやのようにかがやいています。)
まるでダイヤのようにかがやいています。
(「あっ。」)
「あっ。」
(きむらくんが、びっくりするようなこえをたてました。そのとき、)
木村くんが、びっくりするような声をたてました。そのとき、
(むこうのほらあなのなかから、なにかくろいものがはいだしてきたからです。)
むこうのほらあなの中から、なにか黒いものがはい出してきたからです。
(それは、あなからでると、すっくとたちあがりました。にんげんです。)
それは、あなから出ると、すっくと立ち上がりました。にんげんです。
(くろいまんとをきた、せいようあくまのような、おそろしいひとです。)
黒いマントをきた、せいようあくまのような、おそろしい人です。
(「わははは・・・。こばやしくん、ひさしぶりだなあ。わしをわすれたかね。ほら、)
「わははは・・・。小林くん、ひさしぶりだなあ。わしをわすれたかね。ほら、
(いつか「おうごんのとら」とりっこで、ちえくらべをしたまほうはかせだよ。」)
いつか『おうごんのとら』とりっこで、ちえくらべをしたまほうはかせだよ。」
(こばやしくんは、おもわずまえにすすみでました。)
小林くんは、思わずまえにすすみ出ました。
(「あっ、それじゃ、あのときの・・・。」)
「あっ、それじゃ、あのときの・・・。」
(「わははは・・・。こんどもきみたちは、)
「わははは・・・。こんどもきみたちは、
(まんまとわしのけいりゃくにかかったね。」)
まんまとわしのけいりゃくにかかったね。」