赤いカブトムシ9/江戸川乱歩

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出典:「たのしい三年生」講談社 1958(昭和33)年4月〜1959(昭和34)年3月

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問題文

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(しょうねんたんていだんいんのこばやしだんちょうと、だんいんのきむらくんと、)

少年たんていだんいんの小林だんちょうと、だんいんの木村くんと、

(ゆうこちゃんと、いのうえくんと、のろちゃんのごにんが、まほうはかせのあんごうを)

ユウ子ちゃんと、井上くんと、ノロちゃんの五人が、まほうはかせのあんごうを

(といて、せたがやくのはずれのさびしいはらっぱにあるほらあなへはいっていくと、)

といて、世田谷区のはずれのさびしい原っぱにあるほらあなへはいっていくと、

(こんくりーとのまるいへやにとじこめられ、うえからおもいてつのふたが、)

コンクリートのまるいへやにとじこめられ、上からおもい鉄のふたが、

(じりじりとさがってきました。てつのふたにはすきまがないから、そのまま)

じりじりとさがってきました。鉄のふたにはすきまがないから、そのまま

(さがってきたらたいへんです。)

さがってきたらたいへんです。

(みんな、おしつぶされてしんでしまうにきまっているのです。おくびょうものの)

みんな、おしつぶされてしんでしまうにきまっているのです。おくびょうものの

(のろちゃんや、おんなのこのゆうこちゃんは、わあわあと)

ノロちゃんや、女の子のユウ子ちゃんは、わあわあと

(なきだしてしまいました。)

なきだしてしまいました。

(しかし、だんちょうのこばやしくんは、しっかりしていました。いそがしくあたまを)

しかし、だんちょうの小林くんは、しっかりしていました。いそがしくあたまを

(はたらかせて、どうしたらみんながたすかるかということを、)

はたらかせて、どうしたらみんながたすかるかということを、

(いっしょうけんめいにかんがえました。)

いっしょうけんめいに考えました。

(「まほうはかせは、ひとごろしなんかするはずがない。こんなおそろしいめに)

「まほうはかせは、人ごろしなんかするはずがない。こんなおそろしい目に

(あわせて、ぼくたちのゆうきとちえをためしているんだ。」)

あわせて、ぼくたちのゆうきとちえをためしているんだ。」

(それなら、ちえをはたらかせたら、どこかににげみちがあるのかもしれません。)

それなら、ちえをはたらかせたら、どこかににげ道があるのかもしれません。

(そこでこばやしくんは、かいちゅうでんとうをもったまま、まるいへやのまわりを)

そこで小林くんは、かいちゅうでんとうをもったまま、まるいへやのまわりを

(、ぐるっとはいまわり、こんくりーとのかべをしらべてみました。)

、ぐるっとはいまわり、コンクリートのかべをしらべてみました。

(すると、こんくりーとのかべに、ろくじゅっせんちしほうほどの、しかくなきれめが)

すると、コンクリートのかべに、六十センチ四方ほどの、四かくな切れ目が

(ついているのをみつけました。)

ついているのを見つけました。

(「これが、ひみつのかくしどかもしれないぞっ。」)

「これが、ひみつのかくし戸かもしれないぞっ。」

など

(ちからいっぱいおしてみましたが、びくともしません。)

力いっぱいおしてみましたが、びくともしません。

(「どこかに、これをひらくしかけがあるにちがいない。」)

「どこかに、これをひらくしかけがあるにちがいない。」

(こばやしくんはすばやく、そのへんをみまわしました。)

小林くんはすばやく、そのへんを見まわしました。

(しかくなきれめから、すこしはなれたかべのうえのほうに、こんくりーとがちいさく)

四かくな切れ目から、すこしはなれたかべの上の方に、コンクリートが小さく

(ふくらんだところがあります。よくしらべてみると、そのぽっちは、)

ふくらんだところがあります。よくしらべてみると、そのぽっちは、

(こんくりーといろにぬったかなものであることがわかりました。)

コンクリート色にぬった金物であることがわかりました。

(「ああ、そうだ。てつのふたがしたまでおりたら、ぼくたちがしんでしまうから、)

「ああ、そうだ。鉄のふたが下までおりたら、ぼくたちがしんでしまうから、

(したまでおりないうちに、にげだせるしかけになっているのだ。」)

下までおりないうちに、にげ出せるしかけになっているのだ。」

(こばやしくんは、とっさに、そこへきがつきました。)

小林くんは、とっさに、そこへ気がつきました。

(「それなら、てでおしたって、ひらくかもしれないぞ。」)

「それなら、手でおしたって、ひらくかもしれないぞ。」

(そこで、ぽっちにおやゆびをあて、そのうえに、もういっぽうのてをかさねて、)

そこで、ぽっちに親ゆびをあて、その上に、もう一方の手をかさねて、

(ちからいっぱいおしてみました。)

力いっぱいおしてみました。

(ぽっちは、なかなかうごきません。たいへんなちからがいるのです。こばやしくんは、)

ぽっちは、なかなか動きません。たいへんな力がいるのです。小林くんは、

(からだじゅう、あせびっしょりになりました。でも、がまんをして、うんうん)

からだじゅう、あせびっしょりになりました。でも、がまんをして、うんうん

(おしつづけていますと、かたんというおとがして、しかくなきれめが、すうっと)

おしつづけていますと、カタンという音がして、四かくな切れ目が、すうっと

(むこうへひらきました。こばやしくんのちえとゆうきが、せいこうしたのです。)

むこうへひらきました。小林くんのちえとゆうきが、せいこうしたのです。

(そこは、にんげんひとりがやっとはってとおれるほどのまっくらなあなでした。)

そこは、にんげんひとりがやっとはってとおれるほどのまっくらなあなでした。

(こばやしくんは、みんなをよんで、そのあなへはいりこみました。)

小林くんは、みんなをよんで、そのあなへはいりこみました。

(きみがわるいけれども、じっとしていたら、てつのふたにおしつぶされてしまう)

きみがわるいけれども、じっとしていたら、鉄のふたにおしつぶされてしまう

(だけですから、このあなへにげるほかはないのです。)

だけですから、このあなへにげるほかはないのです。

(そのまっくらできゅうくつなあなは、じゅうめーとるもつづいていました。)

そのまっくらできゅうくつなあなは、十メートルもつづいていました。

(やがて、あたりがきゅうにひろくなりました。そとへでたのでしょうか。いや、)

やがて、あたりがきゅうにひろくなりました。外へ出たのでしょうか。いや、

(そうではありません。まだまっくらです。やはり、ちのそこのいっしつなのです。)

そうではありません。まだまっくらです。やはり、地のそこの一室なのです。

(たちあがって、かいちゅうでんとうでてらしてみますと、それはにじゅうじょうも)

たち上がって、かいちゅうでんとうでてらしてみますと、それは二十畳も

(あるような、こんくりーとのへやでした。みんなが、そのへやにはいったとき、)

あるような、コンクリートのへやでした。みんなが、そのへやにはいったとき、

(どこからか、ぎょっとするようなこえがひびいてきました。)

どこからか、ぎょっとするような声がひびいてきました。

(「わははは・・・。かんしん、かんしん。とうとう、あぶないところを)

「わははは・・・。かんしん、かんしん。とうとう、あぶないところを

(ぬけだしたね。だが、まだこれでおしまいじゃないよ。わしのてがみには、)

ぬけ出したね。だが、まだこれでおしまいじゃないよ。わしの手紙には、

(「おそろしいばんにんにちゅういせよ。」とかいてあった。だいいちはおおとら、だいには)

『おそろしい番人に注意せよ。』と書いてあった。だい一は大トラ、だい二は

(てつのふた、さて、だいさんのばんにんはなんだろうね。おしまいほどおそろしいやつが)

鉄のふた、さて、だい三の番人はなんだろうね。おしまいほどおそろしいやつが

(ひかえているからね。ようじんするがいいよ。」)

ひかえているからね。ようじんするがいいよ。」

(まほうはかせのこえです。どこからきこえてくるのかわかりません。きっと)

まほうはかせの声です。どこから聞こえてくるのかわかりません。きっと

(てんじょうのすみに、らうど=すぴーかーでもしかけてあるのでしょう。)

てんじょうのすみに、ラウド=スピーカーでもしかけてあるのでしょう。

(ごにんはひとかたまりになって、おたがいのからだをだきあってじっとして)

五人は一かたまりになって、おたがいのからだをだきあってじっとして

(いました。のろちゃんのからだが、がたがたふるえているのがよくわかります。)

いました。ノロちゃんのからだが、がたがたふるえているのがよくわかります。

(「あれっ、なんだろう。なにかうごいているよ。」)

「あれっ、なんだろう。なにか動いているよ。」

(きむらくんが、むこうのゆかをゆびさしてさけびました。かいちゅうでんとうの)

木村くんが、むこうのゆかをゆびさしてさけびました。かいちゅうでんとうの

(ひかりが、さっとそのほうをてらします。)

光が、さっとその方をてらします。

(するとそこに、なんだかきみのわるいことがおこっていました。)

するとそこに、なんだかきみのわるいことがおこっていました。

(ちのそこから、みょうなものがむくむくとあらわれてきたのです。)

地のそこから、みょうなものがむくむくとあらわれてきたのです。

(まるいあたまのようなものがでてきました。)

まるいあたまのようなものが出てきました。

(それが、みるみるおおきくなります。あなもなにもないこんくりーとのゆかから、)

それが、見る見る大きくなります。あなもなにもないコンクリートのゆかから、

(むくむくとあがってくるのです。こどもくらいのおおきさになりました。)

むくむくと上がってくるのです。子どもくらいの大きさになりました。

(おとなくらいになりました。おとなのばいになりました。おとなのさんばいに)

おとなくらいになりました。おとなのばいになりました。おとなの三ばいに

(なりました。おおきなあたまの、まっさおなからだの、のっぺらぼうなかいぶつ)

なりました。大きなあたまの、まっさおなからだの、のっぺらぼうなかいぶつ

(です。それが、きりもなくおおきくなっていくのです。)

です。それが、きりもなく大きくなっていくのです。

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