赤いカブトムシ5/江戸川乱歩

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プレイ回数7難易度(4.4) 3179打 長文 長文モードのみ
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出典:「たのしい三年生」講談社 1958(昭和33)年4月〜1959(昭和34)年3月

赤いカブトムシ1
https://typing.twi1.me/game/414166

赤いカブトムシ2
https://typing.twi1.me/game/414325

赤いカブトムシ3
https://typing.twi1.me/game/414327

赤いカブトムシ4
https://typing.twi1.me/game/414328

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問題文

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(しょうねんたんていだんのたったひとりのしょうじょだんいん、)

しょうねんたんていだんのたったひとりのしょうじょだんいん、

(みやたゆうこちゃんは、るびーでできたあかいかぶとむしをもって、じぶんのうちの)

宮田ユウ子ちゃんは、ルビーでできた赤いカブトムシをもって、じぶんのうちの

(せっこうざいくのこうばにはいって、なにかやっていました。すると、)

せっこうざいくのこうばにはいって、なにかやっていました。すると、

(そのとき、まどのそとから、かおじゅうひげでうずまった、きたないおとこが、)

そのとき、まどの外から、かおじゅうひげでうずまった、きたない男が、

(そっとのぞいていたのです。)

そっとのぞいていたのです。

(そのあくるひのゆうがた、ゆうこちゃんのおうちのあるしぶやくで、つぎつぎと)

そのあくる日の夕がた、ユウ子ちゃんのおうちのある渋谷区で、つぎつぎと

(ふしぎなことがおこりました。あるまちのがくぶちやさんへ)

ふしぎなことがおこりました。ある町のがくぶちやさんへ

(もじゃもじゃあたまの、きたないおとこがはいってきて、しょーういんどーに)

もじゃもじゃあたまの、きたない男がはいってきて、ショーウインドーに

(かざってあった、ご、ろくさいのかわいいしょうねんの、)

かざってあった、五、六さいのかわいいしょうねんの、

(くびだけのせっこうぞうをかっていきました。)

くびだけのせっこうぞうをかっていきました。

(おとこは、みせをでると、さびしいよこちょうに、はいり、)

男は、みせを出ると、さびしいよこちょうに、はいり、

(あたりをみまわしてから、かみづつみをといて、せっこうのしょうねんのくびを、)

あたりを見まわしてから、紙づつみをといて、せっこうのしょうねんのくびを、

(いきなりじめんにたたきつけ、こなごなにわってしまいました。)

いきなりじめんにたたきつけ、こなごなにわってしまいました。

(せっかくかったせっこうぞうを、なぜわったのでしょう。このおとこは、)

せっかくかったせっこうぞうを、なぜわったのでしょう。この男は、

(きでもちがってしまったのでしょうか。)

気でもちがってしまったのでしょうか。

(それから、さんじっぷんもすると、そのおとこは、べつのまちの)

それから、三十分もすると、その男は、べつの町の

(びじゅつしょうのみせにあらわれました。そして、そこでも、)

びじゅつしょうのみせにあらわれました。そして、そこでも、

(さっきとおなじしょうねんのくびのせっこうぞうをかい、また、)

さっきとおなじしょうねんのくびのせっこうぞうをかい、また、

(さびしいよこちょうへくると、こなみじんにわってしまいました。また、)

さびしいよこちょうへ来ると、こなみじんにわってしまいました。また、

(さんじっぷんほどたったころ、こんどは、おなじしぶやくのあるおやしきへ、)

三十分ほどたったころ、こんどは、おなじ渋谷区のあるおやしきへ、

など

(あのおとこがしのびこんでいきました。)

あの男がしのびこんでいきました。

(そのいえのおうせつまにも、おなじせっこうぞうのしょうねんの)

その家のおうせつまにも、おなじせっこうぞうのしょうねんの

(くびがありました。おとこは、まどからはいりこんでそのくびをぬすみとると、)

くびがありました。男は、まどからはいりこんでそのくびをぬすみとると、

(ちかくのじんじゃのもりで、またこなごなにこわしてしまいました。)

近くのじんじゃの森で、またこなごなにこわしてしまいました。

(「だめだ、はいっていない。あのとき、まだつぎあわされていないせっこうは、)

「だめだ、はいっていない。あのとき、まだつぎあわされていないせっこうは、

(このみっつだけだったのに・・・。」)

この三つだけだったのに・・・。」

(おとこは、とほうにくれたように、たちすくしていました。そのとき、)

男は、とほうにくれたように、たちすくしていました。そのとき、

(ふいにうしろから、おんなのこのわらいごえがきこえてきました。)

ふいにうしろから、女の子のわらい声がきこえてきました。

(おとこが、びっくりしてふりむくと、おおきなきのうしろからでてきたのは、)

男が、びっくりしてふりむくと、大きな木のうしろから出てきたのは、

(ゆうこちゃんです。)

ユウ子ちゃんです。

(「おじさん、いっぱいくったわね。このちえくらべは、)

「おじさん、いっぱいくったわね。このちえくらべは、

(しょうねんたんていだんのかちよ。おじさんは、あたしが、せっこうぞうの)

しょうねんたんていだんのかちよ。おじさんは、あたしが、せっこうぞうの

(なかへ、あかいかぶとむしをかくすのをまどからみていたのでしょう。ところが、)

中へ、赤いカブトムシをかくすのをまどから見ていたのでしょう。ところが、

(あれは、かくすようにみせかけただけなのよ。ほんとうは、もっとべつの)

あれは、かくすように見せかけただけなのよ。ほんとうは、もっとべつの

(ところにかくしてあるのよ。」)

ところにかくしてあるのよ。」

(ゆうこちゃんは、そういって、さもおもしろそうにわらうのでした。)

ユウ子ちゃんは、そういって、さもおもしろそうにわらうのでした。

(「そうか。うまくやりやがったな。おれは、あれをぬすもうとおもったが、)

「そうか。うまくやりやがったな。おれは、あれをぬすもうと思ったが、

(いつもこうばにひとがいたので、ぬすみだすことができなかった。)

いつもこうばに人がいたので、ぬすみ出すことができなかった。

(しかたがないから、あのみっつのこどものくびがはいたつされるのまって、)

しかたがないから、あの三つの子どものくびがはいたつされるのまって、

(そのさきをいっけんずつまわってこわしてみたが、なんにもでてこなかった。)

そのさきをいっけんずつまわってこわしてみたが、なんにも出てこなかった。

(まんまといっぱいくわされたな。わっは、は、は・・・。」)

まんまといっぱいくわされたな。わっは、は、は・・・。」

(おとこはべつにおこるようすもなく、おおわらいをして、それから、)

男はべつにおこるようすもなく、大わらいをして、それから、

(ふっとまじめなかおになりました。)

ふっとまじめなかおになりました。

(「ところがね、おじょうさん。まほうはかせは、もっとうわてなんだぜ。おれは、)

「ところがね、おじょうさん。まほうはかせは、もっと上手なんだぜ。おれは、

(はかせのでしで、きみをほうぼうひっぱりまわすやくだったのさ。きみが、)

はかせのでしで、きみをほうぼうひっぱりまわすやくだったのさ。きみが、

(おれのあとをつけているまに、まほうはかせが、きみのかくした)

おれのあとをつけているまに、まほうはかせが、きみのかくした

(あかいかぶとむしを、ちゃんとぬすみだしてしまったのだよ。)

赤いカブトムシを、ちゃんとぬすみ出してしまったのだよ。

(は、は、は・・・。」)

は、は、は・・・。」

(それをきくと、ゆうこちゃんは、はっとして、まっさおになってしまいました。)

それをきくと、ユウ子ちゃんは、はっとして、まっさおになってしまいました。

(そして、ものもいわず、いきなりどこかへかけだしていくのでした。おとこは、)

そして、ものもいわず、いきなりどこかへかけだしていくのでした。男は、

(あとをみおくって、にやりとわらいました。)

あとを見おくって、にやりと笑いました。

(ゆうこちゃんは、ばすにのっておうちへかえると、ちいさなしゃべるをもって、)

ユウ子ちゃんは、バスにのっておうちへかえると、小さなシャベルをもって、

(うらぐちのそとのはらっぱへいそぎました。)

うらぐちの外のはらっぱへいそぎました。

(ひざまでかくれるくさをかきわけて、はらっぱのまんなかまでいくと、)

ひざまでかくれる草をかきわけて、はらっぱのまん中まで行くと、

(めじるしのいしをとりのけて、そのしたをしゃべるでほりかえし、)

目じるしの石をとりのけて、その下をシャベルでほりかえし、

(かくしておいたぶりきかんをとりだしました。)

かくしておいたブリキカンをとり出しました。

(「まあ、よかった。あのひと、うそをついたのだわ。」)

「まあ、よかった。あの人、うそをついたのだわ。」

(かんのなかには、あかいかぶとむしが、ちゃんとはいっていたではありませんか。)

かんの中には、赤いカブトムシが、ちゃんとはいっていたではありませんか。

(「うふ、ふ、ふ、ふ。こんどはきみのほうでいっぱいくったね。」)

「うふ、ふ、ふ、ふ。こんどはきみのほうでいっぱいくったね。」

(とつぜんうしろからこえがして、さっきのおとこがたっていました。)

とつぜんうしろから声がして、さっきの男がたっていました。

(「まほうはかせが、ぬすみだしたというのはうそさ。まほうはかせは、)

「まほうはかせが、ぬすみ出したというのはうそさ。まほうはかせは、

(このわしだよ。あんなことをいって、きみを、ほんとのかくしばしょに)

このわしだよ。あんなことをいって、きみを、ほんとのかくしばしょに

(きたさせたのさ。さあ、そのかぶとむしをだしなさい。」)

来させたのさ。さあ、そのカブトムシを出しなさい。」

(おとこは、にゅっとてをつきでしました。)

男は、にゅっと手をつき出しました。

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