心理試験2/江戸川乱歩

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1 ヌオー 5356 B++ 5.7 93.3% 1225.1 7065 503 100 2024/11/28
2 くま 2858 E+ 3.1 91.8% 2240.6 7026 621 100 2024/12/21

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問題文

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(さて、いよいよとうじつである。かれはだいがくのせいふくせいぼうのうえにがくせいまんとをちゃくようし、あり)

さて、愈々当日である。彼は大学の正服正帽の上に学生マントを着用し、あり

(ふれたてぶくろをはめてもくてきのばしょにむかった。かれはかんがえにかんがえたうえ、けっきょくへんそうしない)

ふれた手袋をはめて目的の場所に向った。彼は考えに考えた上、結局変装しない

(ことにきめたのだ。もしへんそうをするとなれば、ざいりょうのかいいれ、きがえのばしょ、)

ことに極めたのだ。若し変装をするとなれば、材料の買入れ、着替えの場所、

(そのたさまざまのてんで、はんざいはっかくのてがかりをのこすことになる。)

其他様々の点で、犯罪発覚の手掛りを残すことになる。

(それはただものごとをふくざつにするばかりで、すこしもこうかがないのだ。はんざいのほうほうは、)

それはただ物事を複雑にするばかりで、少しも効果がないのだ。犯罪の方法は、

(はっかくのおそれのないはんいにおいては、できるかぎりたんじゅんにかつあからさまにすべきだと)

発覚の虞れのない範囲に於ては、出来る限り単純に且つあからさまにすべきだと

(いうのが、かれのいっしゅのてつがくだった。ようは、もくてきのいえにはいるところをみられさえ)

云うのが、彼の一種の哲学だった。要は、目的の家に入る所を見られさえ

(しなければいいのだ。たといそのいえのまえをとおったことがわかっても、それはすこしも)

しなければいいのだ。仮令その家の前を通ったことが分っても、それは少しも

(さしつかえない。かれはよくそのへんをさんぽすることがあるのだから、とうじつもさんぽをした)

差支ない。彼はよく其辺を散歩することがあるのだから、当日も散歩をした

(ばかりだといいぬけることができる。とどうじにいっぽうにおいて、かれがもくてきのいえにいく)

ばかりだと云い抜けることが出来る。と同時に一方に於て、彼が目的の家に行く

(とちゅうで、しりあいのひとにみられたばあい(これはどうしてもかんじょうにいれておかねば)

途中で、知合いの人に見られた場合(これはどうしても勘定に入れて置かねば

(ならぬ)みょうなへんそうをしているほうがいいか、ふだんのとおりせいふくせいぼうでいるほうが)

ならぬ)妙な変装をしている方がいいか、ふだんの通り正服正帽でいる方が

(いいか、かんがえてみるまでもないことだ。はんざいのじかんについてもまちさえすれば)

いいか、考えて見るまでもないことだ。犯罪の時間についても待ちさえすれば

(つごうよいよるがーさいとうもじょちゅうもふざいのよるがあることはわかっているのに、なぜかれは)

都合よい夜がー斎藤も女中も不在の夜があることは分っているのに、何故彼は

(きけんなひるまをえらんだか。これもふくそうのばあいとおなじく、はんざいからふひつようなひみつせいを)

危険な昼間を選んだか。これも服装の場合と同じく、犯罪から不必要な秘密性を

(のぞくためだった。)

除く為だった。

(しかしもくてきのいえのまえにたったときだけは、さすがのかれも、ふつうのどろぼうのとおりに、いや)

併し目的の家の前に立った時だけは、流石の彼も、普通の泥棒の通りに、いや

(おそらくかれらいじょうに、びくびくしてぜんごさゆうをみまわした。ろうばのいえは、りょうどなりとは)

恐らく彼等以上に、ビクビクして前後左右を見廻した。老婆の家は、両隣とは

(いけがきでさかいしたいっけんたちで、むかいがわには、あるふごうのていたくのたかいこんくりーとべいが、)

生垣で境した一軒建ちで、向側には、ある富豪の邸宅の高いコンクリート塀が、

(ずっとひとまちもつづいていた。さびしいやしきまちだから、ひるまでもときどきはまるでひとどおりの)

ずっと一町も続いていた。淋しい屋敷町だから、昼間でも時々はまるで人通りの

など

(ないことがある。ふきやがそこへたどりついたときも、いいあんばいに、とおりにはいぬのこ)

ないことがある。蕗屋がそこへ辿りついた時も、いい鹽梅に、通りには犬の子

(いっぴきみあたらなかった。かれは、ふつうにひらけばばかにひどいきんぞくせいのおとのする)

一匹見当たらなかった。彼は、普通に開けば馬鹿にひどい金属性の音のする

(こうしどを、そろりそろりとすこしもおとをたてないようにかいへいした。そして、げんかんの)

格子戸を、ソロリソロリと少しも音を立てないように開閉した。そして、玄関の

(どまからごくひくいこえで(これらはりんかへのようじんだ)あんないをこうた。ろうばがでて)

土間から極く低い声で(これらは隣家への用心だ)案内を乞うた。老婆が出て

(くると、かれは、さいとうのことについてすこしないみつにはなしたいことがあるという)

来ると、彼は、斎藤のことについて少し内密に話し度いことがあるという

(こうじつで、おくのまにとおった。)

口実で、奥の間に通った。

(ざがさだまるとまもなく、「あいにくじょちゅうがおりませんので」とことわりながら、)

座が定まると間もなく、「あいにく女中が居りませんので」と断りながら、

(ろうばはおちゃをくみにたった。ふきやはそれを、いまかいまかとまちかまえていたのだ。)

老婆はお茶を汲みに立った。蕗屋はそれを、今か今かと待構えていたのだ。

(かれは、ろうばがふすまをあけるためにすこしみをかがめたとき、やにわにうしろからだきついて、)

彼は、老婆が襖を開ける為に少し身を屈めた時、やにわに後ろから抱きついて、

(りょううでをつかって(てぶくろははめていたけれども、なるべくゆびのあとはつけまいとして)

両腕を使って(手袋ははめていたけれども、なるべく指の痕はつけまいとして

(だ)ちからまかせにくびをしめた。ろうばはのどのところでぐっというようなおとをだした)

だ)力まかせに首を絞めた。老婆は咽の所でグッという様な音を出した

(ばかりで、たいしてもがきもしなかった。ただ、くるしまぎれにそらをつかんだゆびさきが、)

ばかりで、大して藻掻きもしなかった。ただ、苦しまぎれに空を掴んだ指先が、

(そこにたててあったびょうぶにふれて、すこしばかりきずをこしらえた。それはにまいおりの)

そこに立ててあった屏風に触れて、少しばかり傷を拵えた。それは二枚折の

(じだいのついたきんびょうぶで、ごくさいしきのろっかせんがえがかれていたが、そのちょうどおののこまち)

時代のついた金屏風で、極彩色の六歌仙が描かれていたが、その丁度小野の小町

(のかおのところが、むざんにもいっすんばかりやぶれたのだ。)

の顔の所が、無惨にも一寸許り破れたのだ。

(ろうばのいきがたえたのをみさだめると、かれはしがいをそこへよこにして、ちょっときになる)

老婆の息が絶えたのを見定めると、彼は死骸をそこへ横にして、一寸気になる

(ようすで、そのびょうぶのやぶれをながめた。しかしよくかんがえてみれば、すこしもしんぱいする)

様子で、その屏風の破れを眺めた。併しよく考えて見れば、少しも心配する

(ことはない。こんなものがなにのしょうこになるはずもないのだ。そこで、かれはもくてきの)

ことはない。こんなものが何の証拠になる筈もないのだ。そこで、彼は目的の

(とこのまへいって、れいのまつのきのねもとをもって、つちもろともすっぽりとうえきばちから)

床の間へ行って、例の松の木の根元を持って、土もろともスッポリと植木鉢から

(ひきぬいた。よきしたとおり、そのそこにはあぶらがみでつつんだものがいれてあった。かれは)

引抜いた。予期した通り、その底には油紙で包んだものが入れてあった。彼は

(おちつきはらって、そのつつみをといて、みぎのぽけっとからひとつのあたらしいおおがたの)

落ちつきはらって、その包みを解いて、右のポケットから一つの新しい大型の

(さいふをとりだし、しへいをはんぶんばかり(じゅうぶんごせんえんはあった)そのなかにいれると、)

財布を取出し、紙幣を半分ばかり(十分五千円はあった)その中に入れると、

(さいふをもとのぽけっとにおさめ、のこったしへいはあぶらがみにつつんでまえのとおりにうえきばちのそこへ)

財布を元のポケットに納め、残った紙幣は油紙に包んで前の通りに植木鉢の底へ

(かくした。むろん、これはかねをぬすんだというしょうせきをくらますためだ。ろうばのちょきんのこうは、)

隠した。無論、これは金を盗んだという証跡を晦ます為だ。老婆の貯金の高は、

(ろうばじしんがしっていたばかりだから、それがはんぶんになったとて、だれも)

老婆自身が知っていたばかりだから、それが半分になったとて、誰も

(うたがうはずはないのだ。)

疑う筈はないのだ。

(それから、かれはそこにあったざぶとんをまるめてろうばのむねにあてがい(これはちしおの)

それから、彼はそこにあった座蒲団を丸めて老婆の胸にあてがい(これは血潮の

(とばぬようじんだ)ひだりのぽけっとからいっちょうのじゃっくないふをとりだしてはをひらくと、)

飛ばぬ用心だ)左のポケットから一挺のジャックナイフを取出して歯を開くと、

(しんぞうをめがけてぐさっとつきさし、ぐいとひとつえぐっておいてひきぬいた。そして、)

心臓をめがけてグサッと突差し、グイと一つ抉って置いて引抜いた。そして、

(おなじざぶとんのぬのでないふのちのりをきれいにふきとり、もとのぽけっとへおさめた。)

同じ座蒲団の布でナイフの血のりを綺麗に拭き取り、元のポケットへ納めた。

(かれはしめころしただけでは、そせいのおそれがあるとおもったのだ。つまりむかしのとどめを)

彼は絞め殺しただけでは、蘇生の虞れがあると思ったのだ。つまり昔のとどめを

(さすというやつだ。では、なぜさいしょからはものをしようしなかったかというと、)

刺すという奴だ。では、何故最初から刃物を使用しなかったかというと、

(そうしてはひょっとしてじぶんのきものにちしおがかかるかもしれないことを)

そうしてはひょっとして自分の着物に血潮がかかるかもしれないことを

(おそれたのだ。)

虞れたのだ。

(ここでちょっと、かれがしへいをいれたさいふといまのじゃっくないふについてせつめいして)

ここで一寸、彼が紙幣を入れた財布と今のジャックナイフについて説明して

(おかねばならぬ。かれは、それらを、このもくてきだけにつかうために、あるえんにちのろてんで)

置かねばならぬ。彼は、それらを、この目的丈けに使う為に、ある縁日の露天で

(かいもとめたのだ。かれはそのえんにちのもっともにぎわうじふんをみはからって、もっともきゃくのこんでいる)

買求めたのだ。彼はその縁日の最も賑う時分を見計らって、最も客の込んでいる

(みせをえらび、しょうふだどおりのこぜにをなげだして、しなものをとると、)

店を選び、正札通りの小銭を投出して、品物を取ると、

(しょうにんはもちろん、たくさんのきゃくたち)

商人は勿論、沢山の客達

(も、かれのかおをきおくするひまがなかったほど、ひじょうにすばやくすがたをくらました。そして、)

も、彼の顔を記憶する暇がなかった程、非常に素早く姿を晦ました。そして、

(このしなものはりょうほうとも、ごくありふれたなにのめじるしもありえないようなものだった。)

この品物は両方とも、極くありふれた何の目印もあり得ない様なものだった。

(さて、ふきやは、じゅうぶんちゅういしてすこしもてがかりがのこっていないのをたしかめたあと、ふすまの)

さて、蕗屋は、十分注意して少しも手掛りが残っていないのを確めた後、襖の

(しまりもわすれないでゆっくりとげんかんへでてきた。かれはそこでくつのひもをしめながら)

しまりも忘れないでゆっくりと玄関へ出て来た。彼はそこで靴の紐を締めながら

(、あしあとのことをかんがえてみた。だが、そのてんはさらにしんぱいがなかった。げんかんの)

、足跡のことを考えて見た。だが、その点は更らに心配がなかった。玄関の

(どまはかたいしっくいだし、おもてのとおりはてんきつづきでからからにかわいていた。あとには、)

土間は堅い漆喰だし、表の通りは天気続きでカラカラに乾いていた。あとには、

(もうこうしどをあけておもてへでることがのこっているばかりだ。だが、ここでしくじる)

もう格子戸を開けて表へ出ることが残っているばかりだ。だが、ここでしくじる

(ようなことがあっては、すべてのくしんがみずのあわだ。かれはじっとみみをすまして、しんぼうづよく)

様なことがあっては、凡ての苦心が水の泡だ。彼はじっと耳を澄して、辛抱強く

(おもてどおりのあしおとをきこうとした。・・・しんとしてなにのけはいもない。どこかの)

表通りの跫音を聞こうとした。・・・しんとして何の気はいもない。どこかの

(うちでことをだんじるおとがころりんしゃんとしごくのどかにきこえているばかりだ。)

内で琴を弾じる音がコロリンシャンと至極のどかに聞こえているばかりだ。

(かれはおもいきって、しずかにこうしどをあけた。そして、なにげなく、いまいとまをつげたおきゃくさま)

彼は思切って、静かに格子戸を開けた。そして、何気なく、今暇をつげたお客様

(だというようなかおをして、おうらいへでた。あんのじょうそこにはひとかげもなかった。)

だという様な顔をして、往来へ出た。案の定そこには人影もなかった。

(そのいっかくはどのとおりもさびしいやしきまちだった。ろうばのいえからしごちょうへだたったところに、)

その一劃はどの通りも淋しい屋敷町だった。老婆の家から四五町隔った所に、

(なにかのやしろのふるいいしがきが、おうらいにめんしてずっとつづいていた。)

何かの社の古い石垣が、往来に面してずっと続いていた。

(ふきやは、だれもみていないのをたしかめたうえ、そこのいしがきのすきまからきょうきの)

蕗屋は、誰も見ていないのを確めた上、そこの石垣の隙間から兇器の

(じゃっくないふとちのついたてぶくろとをおしこんだ。そして、いつもさんぽのときには)

ジャックナイフと血のついた手袋とを押し込んだ。そして、いつも散歩の時には

(たちよることにしていた、ふきんのちいさいこうえんをめざしてぶらぶらとあるいていった。)

立寄ることにしていた、附近の小さい公園を目ざしてブラブラと歩いて行った。

(かれはべんちにこしをかけ、こどもたちがぶらんこにのってあそんでいるのを、いかにも)

彼はベンチに腰をかけ、子供達がブランコに乗って遊んでいるのを、如何にも

(のどかなかおをしてながめながら、ながいじかんをすごした。)

長閑な顔をして眺めながら、長い時間を過した。

(かえりがけに、かれはけいさつしょへたちよった。そして、)

帰りがけに、彼は警察署へ立寄った。そして、

(「いましがた、このさいふをひろったのです。だいぶたくさんはいっているようですから、)

「今し方、この財布を拾ったのです。大分沢山入っている様ですから、

(おとどけします」)

お届けします」

(といいながら、れいのさいふをさしだした。かれはじゅんさのしつもんにこたえて、ひろったばしょと)

と云い乍ら、例の財布をさし出した。彼は巡査の質問に答えて、拾った場所と

(じかんと(もちろんそれはかのうせいのあるでたらめなのだ)じぶんのじゅうしょしめいと)

時間と(勿論それは可能性のある出鱈目なのだ)自分の住所氏名と

((これはほんとうの)をこたえた。そして、いんさつしたかみにかれのせいめいやきんがくなどを)

(これはほんとうの)を答えた。そして、印刷した紙に彼の姓名や金額などを

(かきいれたうけとりしょうみたいなものをもらった。なるほど、これはひじょうにうえんなほうほうには)

書き入れた受取証見たいなものを貰った。なる程、これは非常に迂遠な方法には

(そういない。しかしあんぜんというてんではさいじょうだ。ろうばのかねは(はんぶんになったことは)

相違ない。併し安全という点では最上だ。老婆の金は(半分になったことは

(だれもしらない)ちゃんともとのばしょにあるのだから、このさいふのいしつぬしはぜったいに)

誰も知らない)ちゃんと元の場所にあるのだから、この財布の遺失主は絶対に

(でるはずがない。いちねんのあとにはまちがいなくふきやのてにおちるのだ。そして、だれ)

出る筈がない。一年の後には間違いなく蕗屋の手に落ちるのだ。そして、誰

(はばからずおおびらにつかえるのだ。かれはかんがえぬいたあげくこのしゅだんをさぐった。もしこれを)

憚らず大びらに使えるのだ。彼は考え抜いた揚句この手段を探った。若しこれを

(どこかへかくしておくとするか、どうしたぐうぜんからたにんによこどりされまいものでも)

どこかへ隠して置くとするか、どうした偶然から他人に横取りされまいものでも

(ない。じぶんでもっているか、それはもうかんがえるまでもなくきけんなことだ。)

ない。自分で持っているか、それはもう考えるまでもなく危険なことだ。

(のみならず、このほうほうによれば、まんいちろうばがしへいのばんごうをひかえていたとしても)

のみならず、この方法によれば、万一老婆が紙幣の番号を控えていたとしても

(すこしもしんぱいがないのだ。(もっともこのてんはできるだけさぐって、だいたいあんしんは)

少しも心配がないのだ。(尤もこの点は出来る丈け探って、大体安心は

(していたけれど))

していたけれど)

(「まさか、じぶんのぬすんだしなものをけいさつへとどけるやつがあろうとは、ほんとうに)

「まさか、自分の盗んだ品物を警察へ届ける奴があろうとは、ほんとうに

(おしゃかさまでもごぞんじあるまいよ」)

お釈迦様でも御存じあるまいよ」

(かれはわらいをかみころしながら、こころのなかでつぶやいた。)

彼は笑いをかみ殺しながら、心の中で呟いた。

(よくじつ、ふきやは、げしゅくのいっしつで、つねとかわらぬあんみんからめざめると、あくびを)

翌日、蕗屋は、下宿の一室で、常と変らぬ安眠から目覚めると、欠伸を

(しながら、まくらもとにはいたつされていたしんぶんをひろげて、しゃかいめんをみわたした。かれはそこに)

しながら、枕許に配達されていた新聞を拡げて、社会面を見渡した。彼はそこに

(いがいなじじつをはっけんして、ちょっとおどろいた。)

意外な事実を発見して、一寸驚いた。

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